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うみねこ通信 No.6 平成11年12月号

喘息様気管支炎について

小児科部長  冨本 和彦

お母さん方にとって子供さんの病気は何でも心配になるものですが、いわゆる喘息様気管支炎は、乳幼児特有の病気でお母さん方をよく悩ませるもののひとつです。
 この理由はまず、この病名のインパクトが大きいことです。喘息様気管支炎と聞くと、大半のお母さん方はテレビでやっている喘息発作の姿・・夜中にベットから起きあがりヒューヒューと肩で息をしている[起座呼吸といいます]のを思い浮かべて深刻に考えてしまうようです。これには、咳のために病院を転々とした後に、当院の外来に来る頃には悪い病気を思い浮かべやすくなっていることもあるかもしれません。しかし“手打ち風うどん”が“手打ちうどん”と違うのと同じように、喘息様気管支炎と年長児の喘息とは少々異なります。
 一般に年長児の喘息発作では、細気管支が刺激によって収縮するために、空気の通り道が狭くなり笛のようにヒューヒューした音をたてます。喘息様気管支炎も同じように細気管支が狭くなって音をたてるのですが、すこしだけ機序が違うのです。乳幼児の気管支の特徴として次のことがあげられます。

  • ① 細気管支の直径が狭いこと
  • ② 子供は水分が多く痰などの分泌物も多いこと

このため、特に細気管支が収縮しなくても、ただでさえ細い気管支が痰によってさらに狭くなり、痰がからんだようなゼーゼーゴロゴロ(ヒューヒューでなく)という音になります。
 最近では働くお母さんが増えたため、わりと早期のうちから保育所で集団生活を経験する子供さんが多くなっています。どうしても多種のウイルスにさらされているため頻繁に風邪を引きやすくなっているのです。このこと自体は、抵抗力をつけるのが早いか遅いかだけの違いであり、私たちは決して悪いこととは考えていませんが、お母さん方にとってはちょっと心配の種が増してしまうようです。
 つまり、喘息様気管支炎の子供の場合、風邪を引くとその治りかけにちょっとゼーゼーが残っている時期があります。この時期にまた新たな風邪をもらってしまうと、どうしてもイメージとして一つの病気が良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら治りきらないでいる印象をもってしまいます。
 おじいさん・おばあさんからは育て方が悪いように見られ、自分も会社を休まなくてはならない、病院通いはしなくてはならない、挙げ句の果て喘息うんぬんなんて言われる。踏んだり蹴ったりです。
 しかし、ここで安心してもらいたいのは喘息様気管支炎の成り立ちを考えてもらうと良く分かるのですが、この症状がすべて成長すると治ってしまうことです。
 すなわち、細気管支も太くなり、分泌物も減ってくる、保育所でもあらかたの風邪を引いてしまってウイルスに対する抵抗力も十分でてくる、こうしたことで、喘息様気管支炎の子供達はその約80%~90%までが6歳までに治ってしまいます。現に小さいときは毎日薬がはなせなかった子供が、3~6歳頃には全く病院にこなくなってしまうことも良くあります。
 いずれにしても乳幼児を育てていくというのは、相手が自分の体でないだけに心配がつきません。
 不安な点、わからないことがありましたら、いつでもご相談下さい。一緒に育てていきましょう。

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