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うみねこ通信 No.11 平成12年5月号

かわってきた乳癌の治療法

外科部長  木村 芳雄

20年前の乳癌の手術といえば、乳房と共に胸の筋肉と腋下のリンパ節を一緒に切除する方法がとられていました(定型的乳房切除術)。10年前となると筋肉は残して乳房とリンパ節を切除する方法が主流を占めるようになってきました(胸筋温存乳房切除術)。最近では癌を含めた乳腺の一部分のみを切除し、それに腋下リンパ節の切除を加える乳房温存手術が増加してきています。

当院での乳癌手術は年間30~40例ですが乳房温存手術は昨年で約40%に行われています。当院では乳房温存手術は、しこりの大きさが3㎝以内で、腋下のリンパ節転移が著明でないもの、乳管内癌進展が広範囲でないものが基本的に適応としています。患者様が乳房温存手術を希望されても条件によってはかなえられないこともありますし、逆に可能な場合でも乳房を切除する手術を希望される方もいらっしゃいます。いずれにしても、術前に患者様と十分に相談した上で手術法を決めております。ただこの手術方法では残存乳腺に対して術後の放射線治療が必要となり、通院期間が1ヶ月程要します。乳房温存手術の対象とならない方が胸筋温存乳房切除術をうけることとなります。

乳癌は抗癌療法や内分泌療法(女性ホルモン抑制)がよく効く傾向の強い癌であり、手術後の再発の防止、予後の改善の目的でこれらの薬が使用することがよくあります。具体的には

  • ① リンパ節転移の有無
  • ② ホルモン受容体(癌細胞の増殖が女性ホルモンにより促進されるかどうかで決まる)の有無、
  • ③ 年齢(若ければそれだけで危険因子とみなす)

などにより患者様と相談して治療方法の組合せを決定しています。

乳癌の再発は多くは術後3年以内にみられますが、5年過ぎても低頻度ではありますが認められます。ですから5年経過したから大丈夫というのでなく、術後10年間を目標に経過を診させて頂きたいと思います。また仮に再発が認められた場合でも抗癌療法も内分泌療法も比較的効果が高いものですので、決して「もうだめだ」ということでなく頑張って頂きたいと思います。最近、新しい抗癌剤、内分泌療法剤が次々と開発され、それなりの効果が認められつつあり、さらに乳癌を制圧できる可能性が高まりつつある状況となってきていることを最後に申し上げます。

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