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うみねこ通信 No.12 平成12年6月号

肝臓はどんな臓器?

第2内科部長  河津 俊太郎

近頃、生活習慣病に対する関心が高まり、中年以降の年齢になると糖尿病、心臓病や脳血管障害について知識を持っている方がたくさんいますが、なぜか肝臓に関しては基礎的なことを知らない方が珍しくありません。昔から「肝心(腎)かなめ」と言われていますが、肝臓は人間の生命を維持するうえでなくてはならない臓器です。肝臓のある場所は人体の胸部と腹部を分ける横隔膜のすぐ下(右側)にあって、肋骨の内側にかくされています。

人体では最も大きい臓器で、その重量は体重の50分の1くらいで1~1.4㎏です。2500~3000億個ともいわれる無数の細胞が集まって作られています。また肝臓は普通の臓器と異なり血管が3本(動脈、静脈、門脈)あるという特徴があります。もう1つの特徴として老化しにくい臓器であることがあげられています。つまり年をとっても急激に機能が低下することなく、丈夫な臓器で無茶をしなければめったに故障することがありません。

◆肝臓のはたらき

肝臓は栄養素などの生産、貯蔵、集配、処理といった複雑な役割を果たしており巨大な化学工場にたとえられています。食べたものは胃で消化され、腸でさまざまな栄養素に分解されますが、それらがそのまま血となり、肉となるのではありません。栄養素はいったん肝臓に集められ、肝臓がその人のからだに合ったものに作り替えるのです。

巨大な化学工場である肝臓の重要なはたらきは

  • (1)栄養素を分解して貯える。
  • (2)たんぱく質を合成してからだのもとをつくる。
  • (3)有害物質の解毒や処理によりからだを守る。
  • (4)胆汁をつくり、脂肪の消化、吸収を高める。
  • (5)血液凝固に必要な成分を合成する。

など私たちの生命維持に欠かせない機能の多くを肝臓が行っていて、ほかの臓器では代用することができません。多彩な機能をもつ肝臓を大切にし、健康な生活を送りましょう。

◆脂肪肝について

肝臓には普段でもその重さの2~3%くらい脂肪がありますが、これが10% 以上になった場合に脂肪肝といいます。その名のとおり肝臓に脂肪が、特に中性脂肪が貯まってしまった状態が脂肪肝なのです。脂肪肝はほとんど自覚症状がありません。そのために健康診断や人間ドックなどで血液による肝機能検査や超音波検査で偶然発見されることがほとんどです。

脂肪肝は次のような原因が考えられます。

  • (1)食べ過ぎ:カロリー過剰の食事、特に糖質、脂肪に富んだ食べ物を摂りすぎると皮下脂肪と同じように肝臓にも脂肪がついてしまいます。
  • (2)肥満:脂肪がエネルギーに変わるためにはインスリンが重要なはたらきをしていますが、太ってくるとその効き目が低下します。すると体中のいろいろな所にある脂肪が離れやすくなり肝臓に脂肪がたまってきます。
  • (3)アルコール:お酒を飲み過ぎると肝細胞の中での脂肪の入れ替わりがうまくいかなくなり、肝臓に脂肪がたまってきます。
  • (4)その他:糖尿病や甲状腺、副腎などの内分泌の病気があると脂肪肝になることがあります。

脂肪肝は年齢的には男性で40歳以上、女性で50歳以上の人に多くみられますがそれ自体が重大な状況を引き起こすことはありません。しかし脂肪肝を起こすような生活を続けているとやがて糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を起こしたり動脈硬化を促進します。つまり脂肪肝「あなたの生活習慣は危険ですよ」と知らせてくれるシグナルと言えるものなのです。脂肪肝は食事や飲酒などの生活習慣が主な原因で起きるため治療は薬を使用せず、生活習慣を見直すことが基本となります。肥満の人はムラ食いや間食をせず、栄養バランスを考えて1日3食規則正しく食べることに心がけましょう。アルコール性脂肪肝の場合は禁酒が1番の治療です。食事療法とともに大事なのが運動療法です。脂肪や糖質をエネルギーとして燃焼させれば中性脂肪が肝臓にたまることを防ぐことができ、肥満の解消にもつながります。適度な運動は心・肺を丈夫にし、ストレスを解消し、筋力を強くし、血液循環を良くします。

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