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うみねこ通信 No.28 平成13年10月号

麻酔科Q&A

麻酔科第二部長  田口 さゆり

皆さんは、「麻酔科」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?今回、麻酔についての疑問にお答えする形で、私たち麻酔科医の仕事について説明をしていきたいと思います。

Q1「麻酔」とは何ですか? 「麻薬」や「麻痺」とどう違うのですか?

麻酔とは、医療の目的のために(そうじゃないと、犯罪になってしまいます)、一時的に身体の全部(全身麻酔)あるいは一部(局所麻酔)の運動や感覚を取り去る方法のことを言います。

よく混同される麻薬は痛み止めの薬のなかで、使い続けると止められなくなってしまったり、止めようとすると禁断症状がでてくるもののことを言います。全身麻酔では、手術中や手術が終わった後の痛みを取るために麻薬を使うことがありますが、この程度の使用では麻薬中毒になることはありません。

麻痺というのは、病気が原因で感覚がなくなってしまったり、運動機能が損なわれた状態のことを言います。共通する「麻」の文字にはしびれるという意味があるようです。

Q2 麻酔の種類にはどのようなものがありますか?

大きく分類すると「全身麻酔」「局所麻酔」があります。当病院では、麻酔科医は「全身麻酔のすべて」と、「局所麻酔の一部」を担当します。

全身麻酔では、意識がなくなり眠ってしまいます。とても深く眠りますから、手術中の記憶は残りませんが、夢を見ることはあるようです。呼吸も弱くなってしまいますので、口から呼吸を助けるためのチューブを気管の中に入れて、器械で人工呼吸を行います。

局所麻酔は足とか手、あるいは下半身など手術に必要な場所だけの痛みを取る方法で、手術中の意識ははっきりしています。俗に半身麻酔といわれる脊椎麻酔(腰椎麻酔)硬膜外麻酔も局所麻酔に分類されます。どちらの方法も、意識のある状態で背中から注射をします。

Q3 麻酔科医の仕事は手術中の痛みを取ることだけですか?

麻酔科医の役割は、ただ手術をうける患者さんに痛みのない状態を提供することだけでなく、手術という大きなストレスから患者さんの身体を守ることにあります。全身麻酔中は特に、患者さん自身が言葉で異常を訴えられる状態にはないので、手術中は麻酔科医が患者さんのそばについて、刻一刻と変化する全身状態に対応します。

手術前
麻酔管理上問題となりそうな病気がある人は、手術前の早い時期に、麻酔科の外来に来ていただいて診察をすることもあります。診察によって、患者さんが危険な状態にあると判断された場合、手術の中止あるいは延期を決定するのも麻酔科医の重要な仕事の一つです。特に合併症のない患者さんは、手術前日に麻酔科外来で診察を行います。喘息やアレルギー反応の有無、高血圧や糖尿病などの既往歴、今までの手術歴や麻酔歴、麻酔に関する異常反応の家族歴などをうかがいます。術前診察での情報を元に、もっとも適した麻酔法が選択されます。
手術中
心電図、血圧、呼吸、体温、痛みや眠りの状態、出血などが麻酔科医によって監視され、必要とあれば呼吸量、点滴量、輸血量などの調節を行います。どんなに手術時間が長くなっても、麻酔科医は患者さんのそばにおり、患者さんの安全を守っています。
手術後
手術が終わると、通常は10~15分程度で目を覚ましますが、高齢の方や脳梗塞を起こしたことがある方などは目が覚めるまでに時間がかかることがあります。目を覚ましてからも、血圧や呼吸の状態が落ち着くまで30分~60分くらい、手術室内にある回復室で経過観察します。深呼吸や握手が十分にでき、痰が自分で十分出せることを確認したら、麻酔科医が病室に戻る許可を出します。

Q4 麻酔がかからなかったり、途中で切れたりすることはありませんか?

全身麻酔の場合、麻酔薬の使用量には個人差があり、身体の大きい人やお酒が強いといわれる人は麻酔薬を多く必要とする傾向がありますが、麻酔がかからない人は絶対にいません。また、手術が終了してから目が覚めるように、麻酔科医がきちんと麻酔薬の量を調節しますから、手術の途中で麻酔が切れてしまうことも絶対にありませんから、安心してください。

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