閉じる
HOME
診療科のご案内
当院のご紹介
ご来院の皆様
採用情報
診療科・各部門
各種ご案内


HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫ 平成14年10月号

うみねこ通信 No.40 平成14年10月号

子宮筋腫とは

産婦人科副部長  船橋 大

今回は、婦人科の病気で最もありふれたもののひとつである子宮筋腫をとりあげます。子宮筋腫はどうしてできるのかよく分かっていないのですが、子宮筋の筋細胞から発生してくるものと考えられています。

○子宮筋腫の症状

子宮筋腫の1個1個は筋腫核と呼ばれます。筋腫核のできる場p所により様々な症状が見られます。また、筋腫のできる場所にかかわらず筋腫核が変性(筋腫への血液の流れが妨げられて筋腫組織が死んでしまう状態)をおこすと、発熱したり下腹部に強い痛みが起こることがあります。

◆漿膜下子宮筋腫:

子宮の外側に向かって筋腫核が発育するものです。自覚症状があまり見られないため、筋腫が大きくなるまで気づかないことが多いようです。大きくなると下腹部が圧迫されるように感じたり、お腹の上から硬いしこりを触れることもあります。筋腫核が膀胱を圧迫すると尿が近くなったり(頻尿)、さらに尿が出なくなる(尿閉)こともあります。また腸を圧迫すれば便秘の原因にもなります。有茎性筋腫がねじれた(捻転)場合には、激痛を伴います。

◆筋層内子宮筋腫:

子宮の筋肉内で筋腫核が発育するものです。子宮内腔を引き延ばすように筋腫核が発育すると月経量が多くなり(過多月経)、貧血の原因となります。また筋腫核により卵管が極端に圧迫されてしまう場合には不妊症の原因ともなります。

◆粘膜下子宮筋腫:

子宮内腔に向かって筋腫核が発育するものです。筋腫核が小さくても月経量が多くなり、生理痛がひどくなることもあります。また貧血、不妊症や流産の原因ともなります。筋腫核が茎をもって子宮腔内から膣に向かって垂れ下がったように発育するものを、特に筋腫分娩と呼びます。粘膜下子宮筋腫では月経以外の時期でも大量の出血をみる場合があります。

○子宮筋腫の治療

まず、第一に子宮筋腫は大体成人女性の4人に1人に見られるもので、歳をとったら肌にしわやしみができるのと同じように、多くの人に起きる現象です。検診で「筋腫がある」と言われただけで、直ちに治療の対象とはなりません。

子宮筋腫があることにより日常生活に大きな不都合が生じる症状(たとえば高度な貧血や腹痛・腰痛、排尿困難や頑固な便秘など)がある場合や症状がなくても大きな子宮筋腫である場合、さらに不妊症の原因が子宮筋腫のためと判断された場合に治療の対象となります。

◆手術療法 1)子宮筋腫核出術

一般にはお腹をあけた(開腹)うえで筋腫核のみを切除します。しかし子宮筋腫の再発が多く、手術後どうしても赤ちゃんが欲しいという人(35歳未満)に限定して行われることが多いようです。

2)子宮全摘術

大きな子宮筋腫は開腹により子宮をとります(腹式子宮全摘術)。卵巣腫瘍が合併して卵巣の手術も合わせて行う必要がある場合を除いて、卵巣を子宮と一緒にとることはありません。女性ホルモンは子宮から出ているわけではないため、子宮を取ったからといって更年期症状が出ることはありません。また手術後6週間程度で性生活は可能になります。

子宮の大きさが手拳大程度で2~3回程度の経膣分娩の経験があり、まわりに癒着がないと判断されると、膣側から子宮をとり出す場合もあります(膣式子宮全摘術)。

◆薬物療法

皮下注射あるいは点鼻薬、経口剤を使用して、卵巣からの女性ホルモンの分泌を抑えることにより子宮筋腫を小さくする方法です。治療中は女性ホルモンが減るため、更年期症状が出る場合があります。また長期間の使用により骨がもろくなるため、薬剤の使用は6ヶ月間を限度に一時中止する必要があります。筋腫核そのものは薬剤により消し去ることはできません。これはあくまでも一時的な治療法であり、薬剤の使用を終了すれば子宮筋腫の大きさは元に戻ります。

このページの先頭へ