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うみねこ通信 No.32 平成14年2月号

味覚障害について

耳鼻咽喉科医師  辻内 裕子

日々寒さが増し鍋の恋しい季節がやってきました。

さて、最近、「何を食べても味がわからない」、「何を食べても同じ味しかしない」等、味覚障害を訴えて耳鼻咽喉科を受診される患者様が年齢を問わず増えています。味覚障害の原因には、いろいろなものがあります。単純に口の中が汚れている、口の中に炎症があることもあります。しかし口の中にとりたてて異常が認められなくても、味覚障害に悩まされる患者様が増えています。このような場合、飲み薬(高血圧の薬等)の副作用や、体の中に特定の物質が足りないことが原因で味覚障害が現れることがあります。今回はその特定の物質のうち、亜鉛についてのお話です。

○亜鉛とは? 亜鉛が足りないとどうなるのでしょう?

味覚障害の原因として、最近注目を浴びている物質に亜鉛があります。亜鉛はみなさんご存じのように金属の一種です。私たちの舌には味蕾という器官があり、これが味を感じるところで、亜鉛は味蕾をかたちづくる成分の一つです。又、亜鉛は唾液にも含まれています。亜鉛が足りないと、味蕾の形態の変化がおき、そして唾液の中の亜鉛の量が少なくなり、味覚障害がおきると言われています。病院から処方される薬が原因の味覚障害の場合、その約半数は亜鉛の欠乏や低下が関係していると言われています。

○亜鉛を多くとるには?

亜鉛は私たちの体の中で作ることが出来ないので、色々な食品から摂取する必要があります。お手軽なインスタント食品やレトルト食品にはあまり含まれていないので、そればかり食べていたのでは不足してしまいます。

それでは、亜鉛はどんな食品に多く含まれているのでしょうか。

いろんな食品の中で、最も効率よく亜鉛を摂ることが出来るのは群を抜いて魚介類のカキだと言われています。私たちが一日に必要とする亜鉛の量は10~20mgと言われており、カキを2,3個食べれば一日に必要な量を摂取できるそうです。冬場は鍋料理が食卓によくのぼりますが、カキを使った鍋料理の代表といえば、土手鍋ですよね。土手鍋に使う赤味噌は、白味噌より遙かに多く亜鉛を含みます。カキ程ではありませんが、魚介類では他には鰺、煮干し、干しエビ、あさりも亜鉛を多く含みます。鍋料理の材料ではこれらの他に里芋、昆布も亜鉛を多く含むようです。

○多く摂りすぎることは?

普通に食事を摂っている場合、亜鉛を多く摂りすぎることは考えにくいと言われています。

亜鉛は味覚以外にも、私たちの体の中で様々な役割を持っています。亜鉛が足りないと味覚障害をおこすだけではなく、成長や発育が遅れたり、糖代謝異常、不妊、脱毛やお年寄りの骨粗鬆症等の原因になることも知られています。

しかし、亜鉛のことばかり考えて、他の栄養素が著しく不足した食事をするのは本末転倒です。いろいろ便利な食品がある世の中なのですから、それらをうまく利用して、亜鉛を含めてバランスのとれた食生活をめざしましょう。

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