閉じる
HOME
診療科のご案内
当院のご紹介
ご来院の皆様
採用情報
診療科・各部門
各種ご案内


HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫ 平成14年4月号

うみねこ通信 No.34 平成14年4月号

高血圧症について

第一内科副部長  須藤 直行

高血圧症の患者さんは人口の10~15%程度と言われ、日本の推定患者数は約1500万人です。身近な病気ですが、なぜ血圧が高いといけないのでしょうか? 高血圧状態が続くと正常血圧の人より血管の動脈硬化による合併症を起こす確率が明らかに高いことがわかってるからです。合併症とは、脳卒中・心筋梗塞・狭心症・腎不全などです。この合併症を防ぐために血圧は下げておく必要があります。血圧はかなり高くならないとメマイ、肩こり、頭重感等といった症状は出てきません。症状があれば治療するのは当然ですが、「自分はもともと血圧が高い方で、何ともないので治療の必要がない。」、「血圧の薬を飲み始めるとずーッと飲まなくてはいけないから、飲みたくない。」、「薬の副作用が心配だから飲みたくない。」と言う患者さんがいますが、高血圧を放置することが動脈硬化を進め脳卒中や心臓病を起こしやすくするので治療が必要なのです。

血圧とは血液が血管を押す力です。心臓から押し出される血液の量・血管の流れにくさ・血液の粘度などによって決まります。運動すると脈が早くなりますが、心臓がたくさん血液を押し出している証拠です。その時は血圧は上がっています。また、寒くて震えているときは血管が縮んで血液が流れにくくなっていますので血圧は上がります。塩分をとると喉が乾き水分を求めます。血液中の塩分濃度を薄めるために多量の水分が血管内に取り込まれ、血液量が増えます。つまり、自転車のタイヤにたくさん空気を入れるのと同じで血圧が上がります。仕事や人間関係のストレスが重なり血圧が上がることもあります。血圧を測るたびに値が違うのは、このように多くの影響を受けて刻々と変化しているためです。

ところで高血圧とは、どの程度の血圧を指すのでしょうか? 日本高血圧学会から出されたガイドラインがあります。細かい基準が示されていますが、高血圧は140mmHg(収縮期血圧)かつ/または90mmHg(拡張期血圧)以上とされています。しかし、一度の測定で140mmHgまたは90mmHg以上になったらすぐに高血圧と診断するのではありません。血圧は変動しやすいので繰り返し測定することが大切です。仕事の直後や走った直後に測定するのは正しくありません。少なくとも5分間安静にして測定する必要があります。また、病院では何度測っても緊張で高くなる人がいます。そのような人は家庭の血圧を測ってみましょう。

血圧が高い場合には、何日か血圧を測定し病院を受診してみて下さい。胸部レントゲン写真・心電図・血液・尿検査などで合併症がないか検査が行われ治療が開始されます。治療は降圧薬と生活習慣改善の2本立てとなります。すぐに、クスリが開始になる場合もありますし、生活習慣の改善を指導され、再度血圧測定を指示される場合もあります。降圧薬には何種類もあり、違う作用で血圧を下げるので副作用も異なります。自然と消えていくものから、直ちに中止した方がよいものまでいろいろですが、中止した場合でも通常は変更すればうまくいきますので、副作用に懲りて薬を飲むのを嫌わないでほしいと思います。副作用らしい症状がでた場合は主治医に相談してみて下さい。クスリを一生飲まなければならない場合も多いと思いますが、生活習慣の改善(ダイエット、減塩、運動、ストレス解消)で高血圧状態が消える場合もありますので、健康な生活スタイルに切り替えることも非常に大切です。

  1. 体重がオーバーな人は減量。
  2. アルコールはほどほどに。
  3. 毎日ウォーキング。万歩計が歩く習慣を作るのに役立ちます。
  4. 減塩。1日10g以下に。みそ、醤油、塩などを控えましょう。
  5. 禁煙。禁煙だけでは血圧は下がりませんが、動脈硬化を防ぐために重要です。

血圧を安定させて、余計な病気にならないように気をつけましょう。

このページの先頭へ