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うみねこ通信 No.37 平成14年7月号

麻疹(はしか)と予防接種について

小児科医師  上田 知実

今年も4月過ぎから6月にかけて八戸を含め県内ではしかが流行し、新聞紙上では青森県の予防接種率が全国でも低いという報道がなされました。そこで今回は、はしかと予防接種の必要性について少し述べさせていただきます。

はしかは、昔「命さだめ」とも呼ばれていました。数は減りましたが、いまでも肺炎や脳炎による死亡例が報告されています。現在のところ有効な治療薬はなく、効果の高いとされる予防接種が感染、蔓延の防止に重要な役割を果たしています。

○かぜに似た症状で始まります

鼻水、せきなどのかぜ症状から始まり、38度以上の熱が続きます。この頃には、はしかと診断できず、結果的に外来で感染が広がってしまう原因となります。4日目になると目が充血し、目やにが出たり、口の中が荒れてきます。ほおの内側には、特有のコプリック斑と呼ばれる小さな灰白色のポツポツが現れ、これが早期診断に役立ちます。3~4日続いた熱は下がりかけますが、再び上がり、顔や首、胸のあたりに、盛り上がった赤い発疹があらわれます。発疹が全身に広がるころには、隣り合った発疹同士がくっついて皮膚がまだらになります。5日前後には口の荒れもピークになり、顔がはれ、せきでぐったりします。ふつうは一週間前後で下熱し、脚の先まで湿疹が見られる頃に上半身から黒ずんできます。せきはしばらく残りますが、次第に食欲も出てきます。熱が下がった後も2~3日くらいは人にうつしてしまう可能性があるので、外出を避け、ほかの子供と接触しないようにする必要があります。

現在有効な薬はなく、"かぜ"同様に対症療法が中心となります。全身状態が不良の場合は入院が必要なこともあります。また(はしかのウイルスにより免疫がおちているため)他のかぜをもらいやすく、2週間くらいは体調に気をつける必要があります。

○受動免疫について

お母さんがはしかにかかり、免疫(抗体)をもっているとそれが子供に移行し、子供は一定期間病気から免れます。これを受動免疫と呼びます。生後3ヶ月までは抗体が強いので麻疹予防に役立ちます。生後4~6ヶ月の間は稀にかかることもありますが、かかっても軽いことが多いようです。生後8ヶ月以降から抗体が減少して、感染の可能性も出てきます。一般に、かかりやすいのは1才過ぎから6才の時期です。

○誕生日がきたら予防接種をうけましょう

麻疹ワクチンの効果は高く、被接種者の95%以上が免疫を獲得するといわれています。副反応(副作用)も接種後7日くらいに発熱、発疹が軽く見られる程度です。このワクチンはポリオやジフテリア・百日せき・破傷風等と同じ定期接種のワクチンで、政府が国民に接種を勧めているものの一つです。接種時期は生後12ヵ月から90ヵ月までです。但し、はしかは1才過ぎ頃から多いことを考えると、お誕生日がすめば、早い時期にかかりつけ医で接種をうけることをお勧めします。(流行時には10ヶ月から接種が可能です。)ただし、今年も予防接種をしていた中学生がはしかに感染したように、ワクチンを幼少時に打っただけで十分な生涯免疫ができるかは現在疑問視されています。現に2回接種を施行している国や、奨励している先生がいます。

○兄弟がはしかとわかった場合

兄弟やいっしょに遊んでいる子がはしかにかかっていた場合、ほぼ感染していると考えたほうがよく、発症前であれば予防的にガンマグロブリンを注射することがあります。これは大人の血液中から、抗体を取り出したもので、感染後5日目ぐらいまでに接種すると、発症を防いだり、軽くすませることができます。しかし効果は1ヶ月程度しか続かないので、終生免疫を作るためには改めて予防接種を受ける必要があります。

その他の予防接種も含め、御不明な点があればご相談ください。

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