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うみねこ通信 No.38 平成14年8月号

コレステロールの話

第3内科部長  日向 豪史

コレステロールは、人間のからだの重要なホルモンの原料になったり、からだを構成するたくさんの細胞の膜の成分になったりする、大切な物質です。しかし、血液中のコレステロールが多すぎると、全身をめぐっているたくさんの血管が、硬くもろくなる、いわゆる動脈硬化になりやすくなります。特に、心臓の血管が動脈硬化にいたると、狭心症さらには、心筋梗塞(しんきんこうそく)といった、命にかかわる重篤な病気になりかねません。

健康診断などで採血すると、「総コレステロール値」という検査がなされます。コレステロールには、大きく分けて、悪玉コレステロールと善玉コレステロールがあります。悪玉コレステロールは、動脈硬化をひきおこし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)は、動脈硬化を抑制します。総コレステロール値は閉経後の女性は高値になりやすく、男女とも年齢と共に高くなる傾向があります。12時間以上空腹にして採血した、総コレステロールの値の正常値は200mg/dl以下です。総コレステロール220mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満で、高脂血症(こうしけっしょう)の診断になります。

高脂血症は、一般には自覚症状の出ない病気です。しかし、高脂血症が引き起こす動脈硬化症が出現すると、病気の生じる場所によって症状が出てきます。動脈硬化がおこるメカニズムを見てみましょう。まず、血液中のコレステロールが高い状態が続くと、図のように、血管の内側に「脂質(ししつ)プラーク」というものができます。さらに血液中の貪食(どんしょく)細胞などがコレステロールをためこんで、そのプラークを大きくしてゆきます。そうして、血管の中が徐々にせまくなり、血液の流れがわるくなります。血管がつまってしまう事態にいたると、血液の流れが遮断されてしまい、からだの臓器は酸素不足になります。心臓の血管である、冠動脈の場合は心筋梗塞に、脳の血管の場合は、脳梗塞に、下肢の血管の場合は、閉塞性動脈硬化症になります。しかし、コレステロールを低下させる治療を行うと、このような動脈硬化症の発症を、かなりの程度予防できることがわかっています。

コレステロールは、からだのなかで作られる部分が8割、食事に由来する部分が2割と言われています。コレステロール値が高い場合には、まず食事療法が必要になります。食事の全体の量を制限することと、脂肪摂取の比率を総カロリーの20~25%にすることコレステロールの一日摂取量を300mg以下にすることが望まれます。食事の量は、標準体重×30Cal(カロリー)で計算されます。標準体重は、(身長×身長)×22で計算します。脂肪については、なるべく動物性脂肪(肉類、卵黄など)を少なくするように努めましょう。食事習慣の改善だけで、コレステロール値が下がる方はたくさんいると思われます。(参考のために、コレステロールの多い食品を表に載せました。)

コレステロールを含む食品

食品名
mg/100g
食品名
mg/100g
食品名
mg/100g
食品名
mg/100g
卵黄生
1,300
いかくんせい
370
ほたるいか
250
カステラ
190
いかするめ
980
さきいか
370
豚肝臓
250
くるまえび養殖生
190
あんこうきも
560
鶏肝臓
370
牛肝臓
240
かつお節
180
すじこ
510
ししゃも輸入生干し
340
うなぎ蒲焼き
240
どじょう生
180
干しやつめ
480
たらこ生
340
バター
240
あなご生
160
うずら卵
470
牛腎臓
310
いか塩辛
230
養殖あゆ焼き
150
鶏卵全卵生
470
いか生
300
さくらえびゆで
230
 
いか焼き
410
生うに
290
身欠きにしん
230
 
かずのこ生
370
しらす干し
250
マヨネーズ卵黄型
200
 

科学技術庁資源調査会編「日本食品脂溶性成分表」より

食事療法を徹底していても、なかなかコレステロール値が正常にいたらない場合があります。この場合は、からだのなかで合成されるコレステロールを少なくする必要があります。このようにしてコレステロールを低下させる作用のある、お薬が数種類あります。コレステロール値の検査の結果をみて、医師がどの薬が適当か判断します。お薬を始められたら一般には、一生飲み続けることが多いですが、食事への配慮は忘れないようにしましょう。そしてコレステロールを適正に保ち、血管をいつまでも若いままにすることが大切です。

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