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うみねこ通信 No.51 平成15年9月号

言語障害・嚥下障害とその治療

言語聴覚士  内田 寿子

平成9年に言語聴覚士法が成立し、平成11年に国家資格として言語聴覚士(ST:Speech Therapist)が制度化されました。現在青森県内には60余人のSTがおり、医療・福祉・教育の場において理学療法士や作業療法士とともに活躍しています。

STは、音声・聴覚・言語機能などのコミュニケーション能力に問題のみられる患者さんに、検査や訓練、指導などを行います。また、食べ物が飲み込みにくい・食事の最中にせきが出る・むせるなどの嚥下(えんげ)障害といわれる症状に対してもSTが訓練を行います。

脳卒中や頭部外傷などにより、手や足が不自由になるだけでなくことば(言語)にも何らかの問題がみられる事があります。例えば、人の話を聞いて理解する、思ったことを話す、文字を見て理解する、文字を書くなどができなくなる失語症や、顔や口、舌などが麻痺して声が出せなくなったり、うまく発音できなくなる構音障害などがそれにあたります。

さらに最近では、食事中にむせてしまう、食べ物を飲み込む時にのどにひっかかる感じがするという嚥下障害への関心が、病院や在宅の看護・介護の場などでも高まっています。ふだん私たちは、何気なく食べたり飲んだりしています。もし、「食べたくても舌やのどが思うように動かなくて食べられない、飲み込めない」という事になったらどうでしょうか?

嚥下障害とは、水や食べ物が飲み込めなくなったり、肺のほうへいってしまう事をさします。そしてこれが続くと、栄養失調を起こしたり、肺炎などの呼吸器の病気にかかってしまう場合があります。原因としては、脳卒中や頭部外傷、神経・筋疾患、口腔・咽頭腫瘍などが挙げられます。また、60歳を過ぎると食べたり飲んだりする機能に障害がみられるようになるとも言われており、老化に伴う問題としても深刻に考えられています。嚥下の機能に障害がみられる患者さんに対して、STは口や舌などがスムーズに動きやすくなるように訓練し、食べやすい姿勢を作り、食物の形態(ゼリー状、水分にとろみをつけたもの…)などを工夫します。

“口から食べられなくなること”は、人生のQOL(生活の質)を大きく低下させる原因にもなります。つまり食べるということは人生においてとても重要であり、そのような場面にSTは直接関わっています。当院では、嚥下障害の患者さんに対して、医師や看護師、管理栄養士と協力しながら治療を行っています。

コミュニケーションや食事は日常生活により密接するものです。そのような問題を抱えて家庭復帰を目指す患者さんのお役に立ちたいと考えています。

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