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うみねこ通信 No.65 平成16年11月号

甲状腺機能亢進症について

第三内科部長  日向 豪史

甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある組織で、蝶のような形をしています。正常な場合は、首を触ってもわかりません。大きく腫れると、圧迫感を感じることがあり、見ただけで腫れているのがわかることがあります。甲状腺の病気は、甲状腺の腫れだけでなく、血液の検査で、甲状腺の機能を測定することにより、診断されます。その中で、今回は甲状腺機能亢進症という病気について説明します。

甲状腺は、脳の下垂体で作られる甲状腺刺激ホルモンの命令をうけて海草類などに含まれるヨードを原料に甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺ホルモンは血液の中におくりこまれ、全身の細胞の代謝を活発にする働きがあります。甲状腺機能亢進症は、甲状腺の活動が活発になった病気です。自分の甲状腺を刺激するような物質(自己抗体という)が体の中でできてしまうのが原因とされています。男性に比して、圧倒的に女性に多い病気です。

甲状腺機能亢進症の症状としては、首の腫れ(首がふとくなる)、眼球突出(目がでる、目つきがきつくなる)、頻脈(脈拍数が増える、動悸がする)が特徴的です。その他に、体重減少、暑がり、疲労感、イライラ感などを伴うことがあります。また、心房細動という不整脈や、骨粗鬆症の原因にもなります。

甲状腺機能亢進症の治療としては、抗甲状腺薬による治療、放射性ヨード療法、手術治療の3種類があります。日本では、抗甲状腺薬による内服治療(のみぐすりによる治療)がもっとも多く行われています。これは甲状腺ホルモンの作りすぎを押さえる方法です。薬の効果が出てくるまでには2週間程度を要し、長期(通常1~2年)にわたる内服が必要です。また定期的な血液検査でのホルモン測定が必要になります。

治療を受ける際にもっとも大切なことは、内服薬の副作用について十分知っておくことです。1000人中数人に生じるまれなものですが、無顆粒球症という副作用があります。白血球というバイ菌などをやっつける、血液の中にある細胞がひどく減ってしまった状態です。これは内服開始してから1~2週間以内におこることが多く、発熱やのどの痛みなど、ひどい風邪のような症状がでます。このような症状がでたらすぐに病院に行き、診察を受けましょう。他には、体のかゆみがでることがありますので、医師に相談しましょう。

生活上気をつけることは、禁煙です。喫煙は甲状腺機能亢進症による眼球突出を悪化させることがわかっていますので、絶対に禁煙は守りましょう。その他、食事内容など注意することはほとんどありません。治療開始後、通常は数週で症状が軽快し、仕事や日常生活には影響がなくなります。

しかし、症状がおさまっても完治している訳ではありません。定期的に受診し、病状を把握しながら、根気よく治療を続けることが重要です。

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