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うみねこ通信 No.63 平成16年9月号

『基準値』を外れると…病気?

臨床検査技師  坂本 忍

○ 『基準値』???

病気で医療機関を受診したり健診等で検査を行ったりすると、検査報告には項目ごとに一定の検査値幅が印刷されています。これが『基準値』です。この数値は通常、20~60歳あたりの多数の健常者の測定値を集め、その約95%の人が入るように統計的に求められたものです。

では、『基準値』についてもう少し詳しく述べてみましょう。通常、『基準値』は健常者集団から求められますが、健常者の100名中に5名はその範囲を外れる人が出て来ます。この比率で、例えば同時に10項目の検査を実施すると、健常者100名中、50名はいずれか1項目以上に“異常値“を認めることとなり、検査値だけでは異常か正常かの判断が難しいことがわかります。

また、仮にこの『基準値』の範囲を健常者の100%とすると、健常者の“異常値”はなくなりますが、逆に病気でありながら“異常なし”と判定される人が増えることになります。健常者を“異常あり”と判定する危険と病気の人を“異常なし”と判定する危険がもっとも低い点が95%範囲と言われています。

○ 基準値の見方

たった一度の検査で、測定値が基準値の範囲をはみ出て異常値になったからといって、異常あるいは病気と思い込むのは早すぎます。

健常者の5%が“異常あり”となることもありますが、測定値は体温や血圧と同じように、常に変化し、健常者でもびっくりしたり運動後などに脈拍が早くなったりするよう、測定する日や時刻、季節、食事、運動、妊娠などの条件で測定値に“生理的変動”が見られます。

したがって、個人の測定値を正しく診断するためには、“生理的変動や個人差”を考慮して2度、3度と健康診断を重ねて、測定値を“点”ではなく変化のわかる“線”にし、自分なりに健康状態にあるときの数値を知っておくことが重要です。

○ 検査前に守りたいこと

検査の際、いつもと同じ状態でということで、前日の夜もお酒を飲んでいる人がよくいます。しかし、アルコールは検査の結果に大きな影響を与えますから、検査前日の飲酒は避けなくてはいけません。夕食も、できれば7時ごろまでに自宅ですませ、それ以降は、果物やコーヒー、紅茶、牛乳などは控えます。夜間の食事は血糖値やコレステロール値を上げるため、正常な検査が出来なくなってしまうからです。しかし、仕事などの関係で、夜遅く食事をしなければならないときは検査時に申し出ましょう。また、検査当日はできるだけリラックスした状態で検査を受けるよう心がけましょう。

○ 検査値が異常値だった場合どうするか

検査項目に“異常あり”と書かれただけで、すっかり重病人になりきってしまう人がいます。しかし、1つの検査項目の測定値をみるだけなら、たいていは基準値と異常値の境にあたる“境界値”であることが多く、どちらとも決めにくいことが多いのです。そこで、いくつかの検査結果の組み合わせによって、専門医が総合的に診断を行ないます。

したがって、検査結果について自分で勝手な判断を行なって、一喜一憂してはいけません。判定に不安や疑問があれば、一人で悩まず、医師にその意味を納得のいくまで説明してもらいましょう。

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