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うみねこ通信 No.72 平成17年6月号

パーキンソン病について

神経内科部長  栗原 愛一郎

皆さんパーキンソン病ってご存知でしょうか。

脳梗塞や片頭痛を除くと神経内科では最も多い病気で、時点有病率、つまり現在この時点で人口10万人に何人の患者さんがいるのかですが、約50から80人位、最新のデータでは100人で、八戸市では多く見積もって約240人のパーキンソン病患者さんがいることになります。50人という報告の中で同時に悪性新生物80人、虚血性心疾患は100人という数字ですので、パーキンソン病は決して少なくない病気です。

また神経内科の病気は難病が多くよくならないと思っている人が多いのですが、パーキンソン病ではきちんと普通に仕事をしている人も多く、今回は、「神経内科って?」「手のしびれ?」に続き「パーキソン病」の話しをさせて頂きます。

パーキンソン病になる年齢は、40歳代から60歳代が多く、70歳代、80歳代もありますが、40歳以下は若年性パーキンソニズムと言われ遺伝性のものや他の病気のこともあり、診断に慎重さを要します。女性と男性の差は殆どありません。症状としては手足の震え(振戦)、動作がゆっくりになる(無動・寡動)、診察すると筋がこわばってガクガクとかんじる(筋固縮)、転びやすくなったり(姿勢反射障害)します。ふるえは最初に気付かれることが多く、安静時つまり何もしないでだまっていると震え、何かをしようとすると止まります。

例えば箸をもったままだと震えますが、口元まで持ってくる途中は震えず、口元で持ったままでいるとまた震えてきます。また指先だけ見ると粘土を小さく丸めるような動きに見え、丸薬丸め込み運動と名前が付いています。ふるえは筋固縮と同様一側のことが多く、進み方が右手→右足→左手→左足と逆NもしくはN字状に進行します。当初は半身がうごきづらいのですがゆっくり進行しますのでさすがに誰もアタッタと訴える人は少ないようです。動作はゆっくりになりますが、起きあがりや着衣に時間がはっきりかかるようになるのは少し病気がすすんでからのようです。

歩行は特徴的で少し前屈みになり腕の振りが片方で減少し、ひどいと突進するような歩行になる場合があり、転倒しやすくなります。立っていて体を押されると足が出ずそのまま転んでしまうこともあります。表情は仮面様願貌といって能面程ではありませんが表情が少なくなります。笑うときもワンテンポずれる感じで、声も小声でぼそぼそ言う感じになります。そのほか便秘がちになったり、顔が軽く脂ぎったりします。

何故そうなるかというと、正常なら脊髄と大脳の間にある脳幹の中脳という所の細胞から、その細胞の一部が大脳の深い所まで突起を出していて、そこからドパミンという物質がでて、ドパミンが次の神経細胞にくっついてはじめて次の神経細胞が働きます。パーキンソン病では原因がよくわからないままその中脳の神経細胞が減ってきてドパミンも減り次の神経が働けなくなり症状が出てくるのです。

これは治療に実際に応用されていて、ドパミンの前駆物質(脳の中でドパミンになります)を薬として投与するか、または偽物でもよいから次の神経にくっついて作用させる物質を飲ませます。その他に2.3の薬や外科的に手術をする治療法があり、最近は大脳の深い場所の一部を電気刺激する治療法が脚光を浴びています。

パーキンソン病はちょうど50代、60代で働き盛りまたはリタイア直前という年齢で病気がでて、しかも動きが悪くなるということで時々仕事を辞めて受診する人もいます。正しく診断し治療すればまた仕事もできます。また病気が進んでも特定疾患という医療制度があり、この病気の医療費の補助を受けられる場合があり、65歳以下でもこの病気では介護保険が使えます。今まで述べた症状がある方や周りにそういう人がおられたならぜひ神経内科の受診を勧めてみて下さい。

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