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うみねこ通信 No.74 平成17年8月号

海外巡回健康相談に参加して「中近東」

看護師長  西川 幸子

「海外健康相談」は、海外在留邦人の医療不安解消のために行っている事業の一環で、労災病院を運営している労働者健康福祉機構が「海外法人医療基金」に委託し実施しています。平成16年度は、アジア・アフリカ・中南米などの開発途上国へ11チームが派遣され、32カ国54都市、総計4,190人の在留邦人への健康相談を実施しました。

今回私は、平成17年2月7日~27日までの3週間、慶応大学保健管理センター教授、産業医科大学医師、海外法人医療基金職員と共に中近東の4カ国(UAE・オマーン・バーレーン・トルコ)6都市を巡り約560名の健康相談を実施しました。現地の日本人会や大使館の方々が準備してくれた日本人学校やホテル内の部屋などを使用し、身長・体重・血圧測定、検尿の他、希望者には、検便(ぎょう虫・寄生虫)、子宮頸がんの検査、医師の指示があれば血糖測定や心電図検査を行いました。また、医師による健康相談は一人10分~30分程行い、必要時、日本から持参した薬も提供しました。

在留邦人の方々は慣れない海外生活で、言葉・宗教・文化の違いなどでストレスを抱えており、育児や病気などの不安を日本語で話せる1年に一度の機会を心待ちにしているようでした。特に、中近東の健康相談は平成15年度、テロやイラン戦争による治安悪化のため中止されており、今回の巡回を楽しみにしていたという印象を受けました。

ペルシャ湾岸の国、UAE・オマーン・バーレーンとトルコでは邦人の抱える健康上の問題は多少違いますが、「肥満傾向」と「ストレス」が多いように感じました。その原因として以下のことが考えられます。

  • 移動はすべて車であり、また、家庭でもメイドを雇っており主婦も運動不足である。
  • 食事は脂っこい物が多い。(日本の食材・調味料は手に入るが高価である)
  • イスラム教の習慣で夕食時間が21時ころであり、それまでに間食をしてしまう。
  • 職場では現地採用している人はイスラム教徒で一日5回のお祈りと長い昼休み(2時間~3時間)、それをカバーするのが少数の日本人で仕事効率も悪く負担が大きくストレスである。

その他、生活環境で気になったことは、ごみの処理についてでした。「燃やす」という習慣がなく、業者が回収後分別することなくゴミ捨て場に捨てるだけだということでした。夏場は悪臭が漂ったり、ガスが発生したり、気分が悪くなるというお話を伺い半信半疑でした。しかし、トルコの首都アンカラで宿泊ホテルから空港へ移動する際、ゴミ捨て場の脇を通りましたが、ゴミの山がいくつもできており、冬場であったにも関わらず悪臭がただよっていました。古くから中心国家として栄え長い歴史のある国トルコや歴史は浅いけれども近代的に発展した中近東の国々でも開発途上の印象が強く、一昔前の日本を垣間見たような気がました。

今回、訪問した都市は治安が保たれており、衛生状態も悪くはなく、早朝4時すぎ頃から聞こえる目覚まし代わりのコーランの祈りが街中に響き渡る以外は快適でした。3週間という長い期間、体調を維持し職務を全うできたのは、同行の自称旅行通教授からの生もの(野菜・魚など)は少量ずつ摂るように、というアドバイスのおかげでしょうか。北は青森、南は九州福岡からの4人が力を合わせ目的を達成できたことは、なにものにも代え難い貴重な経験だったと思います。機会があれば、また行きたいと思います。

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