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うみねこ通信 No.83 平成18年5月号

薬の話

薬剤副部長  高橋 明

薬を飲むと奇妙なことが起こることから、「くすり」という読み方は「奇(くす)し」から付いたとも言われています。薬で病気が治ったり、楽しい気持ちになったり、というように「何か変なことが起きる」ということなのです。薬というものは、我々の体にとっては異物なものです。

今回、薬に関してのいくつかの話しをしますが、正しい服用、使い方をして、薬と楽しく付き合いたいものです。

薬の強い弱いはどうして決まるのですか?

薬の強さ・弱さを判断する基準にはいろいろな比較方法があります。強い抗炎症作用がある外用剤のように少量で同じような効果、あるいはそれ以上の効果を発揮するような薬を強い薬という場合があります。潰瘍を治療する薬のように作用の仕方が異なることから、胃酸の分泌を抑える薬を強い薬、胃の粘膜を保護する薬を弱い薬と呼ぶ場合があります。また、抗生物質のように多くの細菌に効果があるのを強い薬と呼んだり、同じ細菌に対して少量で効果があるものを強い薬と呼ぶこともあります。

余った薬はどうすればよいのですか?

個人の容態に合わせて出された薬ですから、同じような症状だと思われても他人にあげたり、他人からもらったりしてはいけません。また、治療が終わった後も、もしもという時のためになどと残った薬をとっておくということはしないで、処分してください。それに、薬には有効期限というものがあります。開封後の薬の期限は、薬によっても多少の違いはありますが、約6ヶ月から1年位が目安だといわれています。しかし、これは正しい保管状態での話しです。また、粉薬など調合された薬についてはこの限りではありません。薬がもったいないなどと思わずに、体の具合が悪くなった時は、診察を受けて薬を処方してもらうように心がけてください。

コンプライアンスとはどういう意味なのでしょう?

患者様が薬を医師の指示通りに服用していることを「コンプライアンス」、服用していないことを「ノンコンプライアンス」と言います。病気によっては、ノンコンプライアンスによりさらに病状を悪化させ、命にかかわることにもなりかねません。ノンコンプライアンスの理由としては、「飲み忘れ」がもっとも多く、次いで「病気がよくなったから」「副作用が心配又は副作用が出たから」など、患者様の自己判断で服薬を中止することが多くみられます。ここで問題なのは、患者様が勝手に服薬を中止することにより、より重大な副作用を生ずる薬や病気があることです。たとえば、高血圧の人が飲んでいる降圧剤を急に中止して、かえって急激な血圧上昇をきたしたり(リバウンド現象)、抗生物質を途中でやめて、症状がぶりかえしたりして、病気が悪化することもあるので注意が必要です。もし、薬を服用するのを忘れたら、余分に服用することはせずに、気がついた時点から飲み始めるのがよいでしょう。次の薬を服用する時間が近い時には、1回服用するのをやめるか、又は薬を服用して、次に服用する薬の時間を遅らせるようにします。時間を遅らせる目安は、以下のように考えられます。

  • 1日3回服用する薬 → 次の薬を服用するまで4時間以上あける
  • 1日2回服用する薬 → 次の薬を服用するまで5時間以上あける
  • 1日1回服用する薬 → 次の薬を服用するまで8時間以上あける

1回飲み忘れたからといって、決して2回分を一度には服用しないでください。1回分の有効量を超えて、中毒症状を起こしやすくなるからです。又、食後の薬は食事したあとに服用することが基本ですが、食事をしていないからといって服用しないのではなく、服用する時間がきたら、薬を服用するように心がけてください。

最初にも述べた通り薬は、我々の体にとって異物です。正しい服用方法、使い方をして薬と上手に付き合うようにしてください。最後に、今回のお話が何かの参考になれば幸いです。

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