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うみねこ通信 No.84 平成18年6月号

メンタルヘルスと生活習慣

臨床心理士  加川 真弓

● メンタルヘルスとは

”メンタルヘルス”という言葉を耳にしたことがあると思います。一般的には”心の健康”と訳されますが、心身がともに充実した健康状態を目指すという意味が含まれています。現代はストレス社会といわれるように、日常に様々なストレッサー(ストレスのもとになる刺激)が存在しています。職場では人間関係や長時間労働、配置転換、情報化、家庭では育児や介護などがあげられるでしょう。ストレスが維持・強化されると心の病気(メンタルヘルス不全)になってしまう可能性があります。私たちは風邪をひかないようにうがいや手洗いをして予防しますが、同様に、メンタルヘルスを保つためにも、日ごろからストレスに気づき解消するなど予防をしていくことが大切です。

● 健康な生活習慣を保つ

この予防策の一つとして、最近、生活習慣が注目されています。生活習慣の改善というと糖尿病など生活習慣病の予防としてのイメージが強いと思いますが、実はメンタルヘルスを保つためにも欠かせない要因なのです。生活習慣として具体的には、①十分な睡眠時間をとる、②喫煙を控える、③標準体重を維持する、④ 過度の飲酒をしない、⑤定期的に運動をする、⑥朝食を毎日食べる、⑦バランスのとれた食事をする、などがあります。
ストレスが積み重なるとこれらの生活習慣が乱れやすくなります。また、これらの生活習慣が乱れている人は、生活習慣がよい人に比べ、心の病気を引き起こしやすい状況を生み出します。生活習慣がよい人は身体だけでなく精神的健康が高いと言えるのです。特に、睡眠時間は強い影響を及ぼし、睡眠時間が5時間以下と短い人は抑うつ感を感じやすい傾向があります。男女別に見ると、女性の喫煙者や過剰な飲酒をする人は、そうでない人と比べ、抑うつ感が強まりやすい傾向があります。建設的な生活習慣を心がけることには、ストレスを軽くするストレス解消効果と、心の病気を防ぐ予防的効果があります。これは心の病気になる前、つまり日常の健康な段階で心がけることがポイントです。メンタルヘルスケアの視点からも日頃から生活習慣を見直してみて下さい。

● メンタルヘルスを維持するために

メンタルヘルスを保つためには、生活習慣を整える他に、日頃から自分のストレスに気づくことと、ストレス解消を心がけることが大切です。ストレス解消にはリラクゼーションが有効ですが、人間にはリラックスが必要な部分が3つあります。それは身体、思考、気持ちです。休憩やくつろぎで身体の緊張をほぐすだけではなく、完璧主義や白黒判断(物事を白か黒かという極端な考え方で割り切ろうとする)等の思考(認知)の硬さに気づき修正すること、自分に適した方法で感情を表現したり、親しい人と語らうことで気持ちの緊張をほぐすことが効果的です。

ストレス解消に飲酒をするという人もいますが、一つの解消法に固執してしまうと逆にストレスを増大させる場合があります。ストレス解消のこつはいくつかの解消法を状況に応じて柔軟に使い分けることです。また、心の病気かどうか迷った場合は専門医に相談することも大切です。

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