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手術室看護師 日山 弘子
手術室では、H16年度より全身麻酔で手術を受けるたばこを吸っている患者様に、禁煙の指導を行っています。外来での診療時、「全身麻酔で手術が必要です。」と医師より説明された時に、手術室看護師が外来に出向き、患者様や付き添ってこられたご家族に禁煙のお願いをしております。手術室看護師が麻酔科医氏の指導のもとに作成したパンフレットを用いて、たばこの有害成分、全身麻酔・手術への悪影響、禁煙期間についてお話しています。なぜ手術室の看護師が、外来にまで来てたばこの話をするのか、そんなに暇なのかとお思いなる方もいらっしゃるかと思います。 それには訳があります。たばこを吸っている方は気管支が炎症を起こしている為、麻酔中の口から気管に呼吸を助ける為のチューブを入れる時に・・・・・・
無事に手術が終わっても、肺の奥にたまった痰を外に出す役目をする繊毛の働きが弱まっている為、痰をうまく出すことができず肺炎になる恐れがあります。また、傷の治りが遅くなったり感染を起こしたりし入院が長くなる可能性もあります。
これらの影響に対して1ヶ月以上の禁煙が必要とされています。手術の内容によっては、1ヶ月以上の禁煙期間をもつことが不可能な場合もありますが、1日でも長く禁煙することがさまざまな危険から遠ざける最良の手段といえます。安全に手術を受けていただけるよう全力でお守りするのが、私たち手術看護師の使命だと考えています。これらの理由により、できるだけ早い時期からの禁煙のご理解とご協力をしていただくために、手術室看護師が外来に直接出向き、禁煙指導を行うことにしました。
活動を始めてから4年目となりましたが、6割の方が指導したその日から3日以内にたばこを止めています。中には、ご家族とともに生涯の禁煙を目指している方もいらっしゃいます。実際、たばこを止められた患者様が手術を終えた後、「痰を出すのが楽だった。痰のからみがなくなった。動悸がなくなった。体の調子が良くなった。食べ物の味がよく分かるようになった。喫煙の罪悪感がなくなった。」などのお声が多数聞かれ、禁煙の効果を実感していらっしゃるようです。数日の禁煙後「痰が多くなった、咳が良く出る」と話された方もいらっしゃいますが、痰を取り除く肺の能力が増加したことによる一時的な反応で、気道の繊毛の機能が回復してきていることを示すサインといわれているので心配はいりません。
最後に、「自分は手術とは関係ないし、いまさら禁煙したって・・・」と思っている方に、禁煙のメリットをお知らせします。
たとえ長年たばこを吸っていても禁煙するのに遅すぎることはありません。
今から禁煙にチャレンジしてみませんか?