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うみねこ通信 No.103 平成20年1月号

頭痛について

神経内科部長  栗原 愛一朗

頭痛は大きく原因がある場合とない場合に分けられます。原因がある場合は病気のこともそうでないこともあります。かき氷を食べた時や二日酔の頭痛は誰も心配はしません。風邪でも頭が痛くなりますし、副鼻腔炎や顎関節症でも頭痛が生じます。ただ頭痛を生じる病気の中にはまれに重大な病気が潜んでいる場合があります。くも膜下出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫等の脳外科の病気や、髄膜炎等の神経内科の病気があります。特にくも膜下出血は見逃すと死亡という重大な結果に直結する事が多く、すぐに治療を始める必要があります。突然の今まで経験したことのない激しい頭痛で嘔気、嘔吐、意識障害を伴います。また「いつもと様子が異なる」、「数日~数週でどんどん悪くなる」、「50歳を過ぎて初めての」頭痛や「見えない部分がある、呂律が回らない、急に惚けてきた、半身のしびれ等の症状がある」「風邪症状がないのに熱がある」場合は重大な病気による可能性があり調べてもらう必要があります。これに対し原因のない場合は、いわゆる「頭痛持ち」と呼ばれる人の頭痛で、慢性的に出現するもので、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛等があります。こちらの方が頭痛の頻度としては圧倒的に多く、この場合は脳の心配は要りません。

片頭痛は字の通り頭の片方がズッキンズッキン、拍動する様な痛みが発作的に起き数時間から数日続きます。その前に目の前がキラキラしその周りが見えなくなるまえぶれが数十分続く事があります。暗い所でじっとしていて眠り目が覚めると痛みが和らいでいる事が特徴的です。20歳代から40歳代の女性に多く、発作の回数が少ない場合は我慢するためか、受診する人はそんなに多くありません。ただ15歳以上の人の8%が片頭痛にかかっており、日常生活に支障をきたしたり、寝込んでしまう人が74%もいたという報告もあります。実際痛みがひどく何もできず、いわゆる「からやき」と言われたと患者さんから聞いた事があります。軽い場合は市販の鎮痛薬で対処できる事も有りますが、多くは医者の処方箋による薬が必要です。以前は消炎鎮痛剤や頭痛発作直後に服薬しないと効かない薬しかありませんでしたが、最近は発作直後でなくても有効で、水なしでのめる剤型や注射薬もあります。片頭痛と思う方は我慢しないで医療機関を一度受診してみて下さい。

次に緊張型頭痛についてですが、後頭部や首筋にかけ、締め付けられた、圧迫された感じの痛みで、慢性頭痛の中で最も多いものです。頭全体のこともあり、「鉢巻きをしたような」、「鍋をかぶったような」と表現されることもあります。ストレスが引き金になったりうつむき姿勢の人に多いと言われますが、パソコンを覗き込む際の顎を突き出す姿勢でもなります。頭痛を起こす日数により反復性と慢性に分けられ、1年の半分以上に頭痛がある慢性のものは中高年の人に多いようです。おでこやこめかみを押すと痛かったり、肩こりを伴うことがあり、薬としては消炎鎮痛剤、筋弛緩薬、抗不安薬が使われます。ただし長期に服薬することは望ましくなく、首や肩の力をぬく運動(ラジオ体操で構いません)やマッサージが有効で、良い姿勢を保つ事が大事です。

最後に群発頭痛ですが、中年の男性に多く名前の通り1~2ヶ月毎日片目の奥にえぐられるような激しい痛みが夜間数時間出現し、同時に目の充血、涙目、鼻水、鼻詰まり等を伴います。緊張型頭痛や片頭痛に比べるとかなり少なく、片頭痛に使う薬や酸素吸入が治療として行われます。

今までお話ししたように、重大な病気が疑われる症状のある頭痛は急いで専門の科で診てもらう必要がありますが、日常生活に支障をきたすような慢性頭痛、特に寝込む程の頭痛で治療を受けていない場合も我慢しないで、ぜひ神経内科を受診してみて下さい。

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