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うみねこ通信 No.112 平成20年10月号

ストレスとうまく付き合うために

臨床心理士  加川 真弓

● ストレス・マネジメント

現代はストレス社会と言われるように、日常には様々なストレッサー(ストレスのもとになる刺激)が存在しています。職場での人間関係や長時間労働、情報化、家庭では育児や介護等があげられるでしょう。ストレスは人生のスパイスと言われ、人間にはある程度のストレスが必要です。ただ、過剰なストレスが維持・強化されると心の病気になってしまう可能性があります。心の病気を防ぐために、これらストレスの原因を除去・解消できるならば問題はありませんが、それは困難な場合も多いと思われます。またストレスは生きている限り生じてくるものです。そこで、日頃からストレスを緩和していく能力、つまりストレス耐性を高めながら上手にストレスに付き合っていくことが求められます。これを“ストレス・マネジメント”と言います。

● リラクゼーション

ストレス・マネジメントのポイントは①自分なりのリラクゼーション法を身につける、②人間関係を積極的に築く、③思考や受け止め方を柔軟にする、④生活習慣を整える、⑤感情を表現する、⑥いくつかのストレス解消法を持つなどがあります。①のリラクゼーションとは、心身の緊張を解き、心身をリラックスさせることです。心身がリラックスしている時、人間の身体では交感神経活動が低下し、副交感神経活動が亢進、ストレスホルモンの低下等が起こります。くつろぎや息抜き、音楽や香り、軽い読書など、自分なりのリラックス方法を身につけましょう。また、簡単なリラックス法として呼吸法があります。おへその下辺りをへこませながら細く長く息を吐き、息を吐ききったらふっと力を抜きます。そうすると自然に鼻から息が入ってきますので、お腹を膨らませながら息を吸います。

息を吐く時間は吸う時間の倍程度で、息を吐くときに頭の上から順に腹部にかけ力を抜き、吸うときは腹部から胸の順に酸素がいきわたるようにイメージするとより効果的です。緊張時は呼吸が浅くなりがちなので意識して行います。日本人は身体に力を入れるのは得意ですが、身体の力を抜くのが不得手と言われています。力の抜けた感じを味わうにはいったん身体のパーツごとに力をいれ、一気に力を抜いて緊張をほどくとわかりやすいでしょう。特に、人間関係によるストレスが多い、もしくはサポートが得られにくい職場で働かれている方では、日頃からリラクゼーションを心がけている人はそうでない人に比べ抑うつ感が低い傾向にあります。他にも自律訓練法や漸進的筋弛緩法などスポーツ選手も取り入れているようなリラックス法もあります。ただし、いずれも身体の状態によっては、逆効果になる場合もありますので注意して下さい。

● 心にも栄養を

人間は身体と同様に心も疲労し、抑うつ感や燃え尽き感、倦怠感として現れます。心の疲労はエネルギーの枯渇した状態です。この場合はストレス源からいったん離れ、十分な休養をとり、エネルギーを補給することが必要です。ストレス・マネジメントもエネルギー充電が前提となります。日頃から心の声に耳を傾け、心のバランスを整えながらストレスとうまく付き合いましょう。またストレス反応(その人によって、不眠、頭重感、気分の落ち込みなどとして現れる)が日常生活に支障をきたす場合、心の病気かどうか迷った場合は専門医に相談することも大切です。

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