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うみねこ通信 No.104 平成20年2月号

未来の整形外科への展望

整形外科部長  工藤 祐喜

新年を迎えたばかりで、まだ正月気分がぬけない時分に寄稿を依頼されまして、それではと限りなく夢物語に近いお話をさせていただくことを御了承願います。

…………
22世紀のある日の午後、場所は青森労災病院の整形外科外来での一コマ。

外来ナース 『○○先生、救急隊からの連絡です。転倒して大腿骨の骨折の50代男性の方が、10分ほどで到着します。』
○○医師 『はいよ、了解。いつもの準備しておいてください。』
外来ナース 『わかりました。X線透視室はすぐ使えます。麻酔の内服は1錠で良いですか?』
○○医師 『骨折の形を診て必要ならもう1錠追加するので、とりあえず1錠で。』

それからほどなく、救急隊が到着し、診察室へ運び込まれた。

指先脈波( 22世紀では、血圧や脈拍のほか採血データの全てがこれで瞬時に判定できるようになっていた)で、ちょっと出血が300ccほどありそうだった。

○○医師 『急速自己増血剤2錠と麻酔薬1錠、内服。30分後に透視室へ。』

30分後、線透視室に移る。患者さんはぐっすりと深い麻酔で眠り込んでいる。この麻酔薬の発明のおかげで、痛みもなくさらに心地よい夢を見ながら手術ができるようになっていた。もちろん、内臓へ負担は一切ない。ただ、時間に応じて量を追加すればよいだけである。

○○医師 『どれどれ、ん~と右の大腿骨の真ん中で第骨3片ありの斜骨折か。今日もまた骨折整復ロボットにがんばってもらうとするか。今日の当番ロボットは何号だ?あ、3号か。』
3号ロボ 『…………』無言で登場。

先週メンテナンスを終えたばかりだ。3号ロボがおもむろに患者さんに近づき、X線データをもとに骨折した大腿部を動かし10秒ほどで、正常の形に戻した。あとは、○○医師が長い注射針を骨折部に刺して、バイオケミカルボーンボンドを注入するだけである。このボンドは瞬時に骨折部を強固に固定し、さらに1日で元の骨に戻る超骨形成促進作用をもっている。

○○医師 『まったく優れたものを発明してくれたものだ。100年以上前は、手術で苦労して整復し、金属で固定し、それでもなかなか治らないこともあったらしい。しかも2~3ヶ月入院だったそうだ。』

そうして、骨折の治療は終了し、あとは患部の出血と筋肉のダメージを回復させる内服を3日間投与で、退院は4日後の予定である。こういった外傷の他にも、変形性関節症やリウマチなどの関節病変、また脊髄損傷などのダメージを受けた神経の回復も今では日常的に治療できる時代となった。

…………

というわけで、ここで21世紀初めの今に戻りますが、このような未来がいつの日か来るであろうことを祈って、現在出来る整形外科医療を続けていくよう、今後のご挨拶にかえたいと思います。

誤解のないように繰り返しますが、さきほどの談話はあくまでも期待をこめたフィクションです。

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