閉じる
HOME
診療科のご案内
当院のご紹介
ご来院の皆様
採用情報
診療科・各部門
各種ご案内


HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫ 平成20年5月号

うみねこ通信 No.107 平成20年5月号

MRI…エム アール アイ…愛

主任放射線技師  原田 行雄

当院の放射線科において使用されている医療検査機器の中には、アルファベットで表記されているものがいくつかあります。CT装置(Computed Tomography)やMRI装置(Magnetic Resonance Imaging)など英語表記の頭文字(イニシャル)を使って表示しそれぞれシーティー装置、エムアールアイ装置などとよんでいます。

では、エムアールアイ(MRI)装置について簡単に説明しましょう。

人間の体には水分や脂肪が多く含まれています。水分や脂肪に含まれる‘水素原子核’は、強い磁場(磁場強度T:テスラという単位)の中に入ると、たとえば学校の教室の中で、あちこちを向いている生徒たち“水素原子核”は先生が入ってくることによって(強い磁場)、一定の方向にそろいます。

この状態で、特定の周波数のラジオ波を体に当てた後、体から出てくる同じ周波数のラジオ波を計測しコンピューターで解析して輪切りの画像を作り出しています。

強い磁場を発生させるために使用しているものが超伝導電磁石(コイル)です。通常の電磁石で同じ強さの磁場を発生させようとすると大電流を流すことになり、電気抵抗からくる金属の発熱によって流せる電流が限られてくるために強い磁場発生にも限界がでてしまいます。そこで、超伝導現象(閉ざされた電気磁石回路内で電気抵抗がゼロであるため永久に電流が流れ続ける)を利用した電磁石(リニアモーターカーにも使用されている)を使うことによって、強い磁場を発生させています(現在使用しているものは1.5テスラ)。

また、超伝導状態を維持するため極低温にしておかなければなりません。そのために使用している液体ヘリウム(ガス状にして風船に入れたり、吸い込むと声が変わるマジックボイスの素)は、約マイナス269度と極低温物質であり取り扱いが大変でもあります。また、超伝導電磁石の総重量は数百㎏にもなり、それを冷やすために液体ヘリウムを1000リッターぐらい使用しています。

撮影された画像は、X線CTと違い同じ場所をいろいろなコントラスト(例えば、脂肪を撮影したとき白く見える撮り方と黒く見える撮り方など)で撮影して、 CTでは苦手な軟部組織や背骨の中の神経などいろいろな角度での断面画像を撮影して病変を見つけ出しています。また、放射線を使用しないため、放射線被ばくがないことも挙げられます。

しかし欠点もあり、CTに比べて検査時間が長いため、動きのある場所に関してはちょっと苦手にしています。また、装置が狭くて閉所恐怖症のある方や検査中の騒音に敏感な方や小児のように一人でじっとしていられない方には辛い検査になってしまいます。さらに、装置自体が大きな磁石になっているため、電子機器や磁気式カード類を中に持ち込むと壊れて使えなくなることから、心臓ペースメーカーや磁気に反応する金属等が体内にある場合は検査を受けらず、ヘアピンなど体に着けている貴金属類は検査前に外していただいています。

最後に、私たちは撮影を始める前に何度もくり返し身につけている物の確認をして事故のない“I”(愛)のある検査を行っています。

このページの先頭へ