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うみねこ通信 No.115 平成21年1月号

この穴は何?

形成外科部長  荒 道人

生まれつき、耳の前に小さな穴が開いている場合があります。これを耳前瘻孔(じぜんろうこう)といいます。片側だけでなく両側にある方もいます。また遺伝することもあります。

耳介は、胎児のときに第1、第2鰓弓(さいきゅう)というところに6つの耳介結節という隆起ができて、それが癒合することによってできあがります。その癒合がうまくいかなかった時に、耳前瘻孔ができると考えられています。

耳前瘻孔は、非常に浅いものもありますが、多くの場合穴から管や袋ができていて、それが皮膚の下の深いところまで続いています。

耳介軟骨を貫いている場合もあります。また管や袋の内側は皮膚と同じですので、くさい臭いのする分泌物がみられることもあります。

そのまま何も起こらずに経過することも多いのですが、穴から細菌が入って感染を起こすことがあります。感染を起こすと、膿がたまったり、管や袋が破れて周囲に炎症が波及したりします。また近くの皮膚に穴があいて、そこから膿や肉芽がでてきたり、顔が腫れたりすることもあります。

感染を起こした場合は、切開して膿を出したり、抗生物質を投与するなどの治療が必要です。一度感染を起こすと、その後も感染を繰り返すことが多いです。

根本的な治療法は、手術によって穴とそれに続く管や袋をきれいに摘出することです。大人の場合は、局所麻酔でできますが、子供の場合は入院して全身麻酔で行なうことになります。まず穴から色素を入れて管や袋の内側を染めて、次に穴とその周辺に切開を加えて摘出します。場合によっては少し大きく切開したり、耳介軟骨の一部も切除することもあります。もし感染を起こしている場合は、まずその治療をして炎症がおさまってから手術となります。一度も感染を起こしたことのないものは、摘出しやすいのですが、感染を繰り返しているものでは、瘢痕で周囲の組織が硬くなっていたり、あちこちに破れて管や袋が途絶えてしまっている場合があり大変です。 完全に摘出できれば、それで治りますが、取り残しがあったりすると再発することもあります。何度も感染を繰り返したものは、思わぬところにかけらが残っている場合があり、再発の可能性が高くなります。そのため一度でも感染を起こした場合は、早めに手術した方が良いです。また感染を起こしていない場合でも、その危険性は常にありますので、予防的に摘出しておいた方が良いと思います。

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