HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫ 平成21年12月号
消化器内科部長 日沢 裕貴
みなさん、「胸やけ」を感じたことはありませんか?胃液は強い酸性のため、これと混ざり合わさった食物や胃液が食道に逆流すると粘膜が刺激され胸やけが起こります。そのほかみぞおちやのどが焼けるように痛くなったり、のどのつかえ感、せきなどの症状がでることもあります。従来から、内視鏡検査で食道の粘膜にただれがあれば逆流性食道炎と診断されますが、3~4割の方は、検査で異常がないのに症状を自覚する方がいて、最近では食道炎があってもなくても、逆流症状があれば、胃食道逆流症と呼ばれています。高齢化・食事の欧米化・診断の進歩などにより、日本でも近年この病気がふえてきています。
この病気は次のような原因が重なって引き起こされます。この病気の診断には、一般的には胃カメラを行い、逆流に伴う食道の発赤やただれが認められれば従来の逆流性食道炎と診断できます。しかし、あきらかな症状があるのに、胃カメラで異常がない場合は、内服治療を行って症状が改善するかどうかで判断します。
治療方法としては、ほとんどの方は「胃酸をおさえる薬」、「胃の動きを改善する薬」などにより症状を抑えることが可能です。しかし、極まれに薬の治療で症状が改善しない場合は手術的治療を行うこともあります。
また、日常生活の改善でも症状が緩和されることがあります。例えば、前かがみの姿勢をさけ、排便時に過度に力まず、ベルトや帯におなかを締め付けないようにこころがけることが大事です。食事では脂肪分、チョコレートなどの甘いもの、柑橘類、コーヒー、紅茶、辛いもの、アルコール類、タバコなどの胃酸の分泌を高めるものを控え目にしましょう。また、食後は1~2時間は横にならないように心がけてください。そして、寝る前の食事はさけ、夕食の食事を少なめにすると効果的です。