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うみねこ通信 No.126 平成21年12月号

胃食道逆流症

消化器内科部長  日沢 裕貴

みなさん、「胸やけ」を感じたことはありませんか?胃液は強い酸性のため、これと混ざり合わさった食物や胃液が食道に逆流すると粘膜が刺激され胸やけが起こります。そのほかみぞおちやのどが焼けるように痛くなったり、のどのつかえ感、せきなどの症状がでることもあります。従来から、内視鏡検査で食道の粘膜にただれがあれば逆流性食道炎と診断されますが、3~4割の方は、検査で異常がないのに症状を自覚する方がいて、最近では食道炎があってもなくても、逆流症状があれば、胃食道逆流症と呼ばれています。高齢化・食事の欧米化・診断の進歩などにより、日本でも近年この病気がふえてきています。

この病気は次のような原因が重なって引き起こされます。
  • ① 本来食道と胃のつなぎ目の部分は括約筋があり、胃の中のものが逆流しないように弁の働きを持っていますが、加齢とともにこの働きが弱くなり、食道裂孔ヘルニア(つなぎ目の部分の固定が弱くなり、胃の一部が胸のほうへとびだしてしまう)や胃の手術などで形態が変わることによって起こります。
  • ② 食道へ逆流してきた胃液を胃に送り込むのが遅れ、食道内にとどまる時間が長くなり、胃炎や胃漬瘍などによって胃の働きが弱まり食物が長時間とどまるようになると起こりやすくなります。
  • ③ 肥満やお腹をしめつけたり、重いものを持つことにより胃が圧迫され、胃液が逆流しやすくなったり、食べ過ぎたり、脂肪の多い食事をとると胃の働きが悪くなり、胃と食道の間にある「噴門」が開きやすくなります。空気がでれば「げっぷ」、胃液がでれば「逆流」になります。

この病気の診断には、一般的には胃カメラを行い、逆流に伴う食道の発赤やただれが認められれば従来の逆流性食道炎と診断できます。しかし、あきらかな症状があるのに、胃カメラで異常がない場合は、内服治療を行って症状が改善するかどうかで判断します。

治療方法としては、ほとんどの方は「胃酸をおさえる薬」、「胃の動きを改善する薬」などにより症状を抑えることが可能です。しかし、極まれに薬の治療で症状が改善しない場合は手術的治療を行うこともあります。

また、日常生活の改善でも症状が緩和されることがあります。例えば、前かがみの姿勢をさけ、排便時に過度に力まず、ベルトや帯におなかを締め付けないようにこころがけることが大事です。食事では脂肪分、チョコレートなどの甘いもの、柑橘類、コーヒー、紅茶、辛いもの、アルコール類、タバコなどの胃酸の分泌を高めるものを控え目にしましょう。また、食後は1~2時間は横にならないように心がけてください。そして、寝る前の食事はさけ、夕食の食事を少なめにすると効果的です。

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