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うみねこ通信 No.123 平成21年9月号

インスリン治療について

糖尿病・内分泌内科部長  日向 豪史

インスリンは、膵臓(すいぞう)という内臓から分泌される、血糖を下げるための大切なホルモンです。正常人の血糖は、インスリンの働きによって、空腹のときには70から110mg/dlの値の間におさまるようになっています。インスリンの分泌量やインスリンの働きの低下によって、血糖値が正常より高い状態が続く病気を糖尿病といいます。糖尿病になり長くわずらうと、目や腎臓や神経に合併症が出て、体に障害がでてきます。

糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法の3本立てです。糖尿病の薬物療法には、飲み薬による治療とインスリン注射による治療の2種類があります。一般には、インスリン治療は、糖尿病が特に重症な場合に行うと思われがちです。さらに、一度注射を始めると、一生涯続けなくてはならないとの考えの方が多いようです。もちろん膵臓の病気や全身麻酔の手術の際や妊娠時には、最初からインスリン治療が必要です。しかし、重症軽症にかかわらず、インスリンは幅広く使われています。生涯必要な方もいますが、血糖値がよくなりインスリン治療が不要になる方も多数います。

糖尿病の方が、胃腸をこわしたり、肺炎などのバイ菌の感染症にかかって食欲が全くなくても、血糖値は思いのほか上昇します。普段の飲み薬の治療では不十分で、一時的にでもインスリン治療が効果を発揮します。

最近、のどの渇きや全身の倦怠感が出現して、糖尿病が発症することがあります。空腹時で250mg/dl以上、食後で350mg/dl以上の場合では、早期にインスリン治療を行うことが望ましいとされています。病初期ではインスリンの分泌する能力が回復して、インスリン注射治療が不要になる方が多数いるからです。

飲み薬を長期間飲んでいると、徐々に効果が弱くなってくる方がいます。たいていは、のみ薬を増量しても血糖値は下がりません。インスリン治療に切り替えると、血糖値は改善します。また、飲み薬はそのまま飲んで、インスリン注射を併用する治療法もあります。100点満点に至らなくても、十分合格点をあげられる血糖値になることが多い治療法です。

インスリンは、自分でお腹の皮膚に長さ5mm程度の細い針を刺して、決められた量を注射します。ペン型をした注射器に、使い捨て針をセットして、ダイヤルを回し、注射するという簡単な作業です。大変有効な治療ですので、先生に勧められたら、是非取り組んでみましょう。

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