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うみねこ通信 No.135 平成22年9月号

ロコモティブシンドロームについて

リハビリテーション科技師長  畠山 榮

ロコモティブシンドロームという言葉はあまり聞きなれない名前と思います。これは2008年から提唱されてきた新語で、運動器症候群と訳されるものです。その意味は「骨、関節、筋肉などの運動器の働きが衰え、介護が必要になる状態や介護が必要になる危険性が高い状態」をしめすものです。それでも運動器とは何?とまた疑問が出てくる方が大半ではないでしょうか。運動器について広辞苑を開いてみると「動物が体を動かすために使う器官の総称」とあります。具体的にいうと骨や関節、靭帯、筋肉、神経などを指しています。これらのなかで骨は誰でもすぐ分かるでしょうが、筋肉や神経は見たことがないのでどういうものか分からないという方もおられます。分からないまますめばいいのですが、いつかはどうでもいいと言えなくなる事態がやってきます。

現在、介護を受けたり支援を受けて生活をされている高齢者の数は、全国で450万人いると言われています。そしてこのうち骨や筋肉など運動器が不自由なため介護・支援を受けている方がおよそ5分の1を占めているのです。寝たきりなどの原因は脳血管系の障害や心臓疾患が多いのは知られている通りですが、実は同じくらいの比率にまで運動器に起因するものが増えているのです。そしてこの数は今後さらに増えていくことが確実視されています。それは厚生労働省による推計で4,700万人が関節の変形や骨粗鬆症など運動器の不具合を持っているという報告から明らかです。この膨大な人数は現在痛みや障害を感じていない軽症の人を含む人数ですが、今後5年~10年と年を経るごとに不自由になる人の多さを示しています。このまま何もしないでいると歩いたり仕事が出来なくなる高齢者がどんどん増えていき、要介護者となって家族にも社会にも大きな負担となっていくのではと心配されているのです。

医療が進歩して下肢の骨折でも手術後、早期からリハビリテーションを開始すると数日から数週間で歩く事が出来るようにもなります。一方で複数の合併症を持っていると回復には長期間かかることが多くなり、介護が必要になる事も少なくありません。今後増大する中高年者がより高齢となっても可能な限り自力で立って歩けるように筋力や関節運動のトレーニングをしていくことが介護予防につながり大切になります。この筋力や関節のトレーニングをロコモーショントレーニングといい、健康なときからの実践が望ましいのですが、膝の痛みなどが出てからでも遅くはありません。比較的簡単な運動なので整形外科医やリハビリテーションスタッフに相談してみてはいかがでしょうか。

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