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うみねこ通信 No.148 平成23年10月号

細胞診検査とは?

主任検査技師  古田 芳幸


皆さんは「細胞」を見たことがありますか?もちろん見たことありますよね。だって私たちの体が「細胞」なのですから。皮膚や血液や粘膜など、人間の体は約60兆個の細胞からできています。そしてその細胞が秩序正しく決められた仕事をしているおかげで私たちは日々健康に過ごすことができるのです。しかし、60兆個もある細胞の中には、秩序を保たず自由勝手に増え続けて、そのために生きていくことを邪魔する細胞ができることがあります。これが「がん細胞」です。

細胞診検査は、人の体から採取した細胞の形態を顕微鏡で見て「がん細胞」など、病変の有無を判断する検査のことを言います。『広報はちのへ』に掲載されている住民検診の子宮がん検診や喀痰による肺癌検診などがそれにあたります。

◆細胞診検査で取り扱う材料は?

  • 1 . 喀痰、尿、婦人科膣分泌液などの自然排出材料
  • 2 . 胸腹水、髄液などの穿刺液
  • 3 . 乳腺、甲状腺、リンパ節などからの穿刺吸引材料など、種々多様であり、体の中のあらゆる材料が対象となります。

◆細胞診検査が必要な場合はどんな時?

  • 1 . 血の混じった尿や痰が出たとき。
  • 2 . 婦人科検診を希望したときや不正出血が見られたとき。
  • 3 . 首周り(甲状腺)や乳房等からだの表面の「しこり」に気づいた時などです。

◆細胞診検査の手順は?

1 . 細胞の採取

  • ① 尿や痰は専用容器に採取し、担当者がそれぞれから細胞を集めます。
  • ② 婦人科検診は医師が専用器具で採取し、スライドガラスに塗ります。
  • ③ 「しこり」などは主治医が注射器で穿刺して細胞を採取します。

2 . 染色・観察・結果報告

  • ①染  色
    細胞はそのままでは殆ど色がないので、通常の光学顕微鏡で観察できるよう、細胞に色をつける作業(染色)を行います。

  • ②観察・結果報告
    細胞検査士2名でチェックし、病理医が良性・悪性などの最終報告をします。

3 . 細胞診検査の長所と短所

  • ①長  所

    • ・痛みなどの侵襲が少ないため、繰り返しの検査が可能。
    • ・炎症か、腫瘍か、腫瘍だったら良性か悪性かなどの質的判断ができる。
    • ・広い範囲の異常を発見することができる。
  • ②短  所

    • ・良性病変にも悪性を思わせる細胞が出現したり、反対の場合が起こりうる。
    • ・穿刺吸引細胞診では病変部を採ってこないと、正しい判断ができない。

以上のことを踏まえ、細胞診検査は早期癌の発見や集団検診の一つとして行われており、肺癌や乳がん、子宮頸がんをはじめとする悪性腫瘍の早期発見と死亡率低下に役立っています。

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