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うみねこ通信 No.142 平成23年4月号

エコー(超音波検査)でわかることが増えてきました!

臨床検査技師  千葉 祐二

病院または健診施設などで行うエコー(超音波検査)のことを紹介します。

エコー装置の分解能や機能性の向上に伴い、現在の臨床診断において重要な情報提供が可能となりました。エコーは体に侵襲を与えず、繰り返し確認できること、CT、MRIに比べ検査費用が少ないこと、ベットサイドで行えることなどから、今後さらにそのニーズが高まることでしょう。最近は心臓や腹部領域だけではなく、血管疾患や乳腺疾患の診断に欠かせない検査となっています。

今回は、エコー装置の進歩に伴い、最近わかるようになったこと、もしくはエコーでの診断能力が増した一部分を簡単に紹介します。

【動脈硬化性疾患】<生活習慣病に関連して最近増加傾向>

動脈硬化リスクが多い程発症しやすいために、あらゆる血管のリスクチェックをエコーで調べることができます。
★首の血管(全身の動脈硬化指標や脳梗塞の要因)
★足の動脈詰まり(閉塞性動脈硬化症)
★心臓の弁狭窄(弁膜症)
★腎動脈起始部狭窄(薬物療法抵抗性高血圧の原因となる場合もあり)
★腹部大動脈瘤

【静脈血栓塞栓症】<別名エコノミークラス症候群>

下肢の静脈にできた血栓が原因となり、肺血栓塞栓症を起こすことがあります。長時間同じ体勢でいることが要因の一つで、飛行機だけでなくタクシー運転手や長距離トラック運転手にも発症しています。手術後にできる場合もあります。ヒラメ筋内の静脈に血栓ができやすく、検出はCTよりも優れています。

【乳腺疾患】<乳癌発症年齢が年々低下>
★腫瘤(しこり)の良悪の判別
★周りに広がる前段階の癌(DCIS:非浸潤性乳管癌)
★マンモグラフィーでは捉えにくい若年性乳癌

【胎児心エコー】<昨年4月から保険診療認可>

胎児エコー検査の中で特に心臓を重点的に検査し、先天性心疾患の一部を胎児期に診断することが可能です。

【腹部】<肝臓、膵臓、腎臓、胆のう結石の観察の他にも…>

急性虫垂炎、消化管疾患(胃、大腸腫瘤病変の一部など)がわかることもあります。

【その他】

映画やテレビ同様に3Dエコーも話題になっています。既に胎児においては普及しつつあり、顔の輪郭や表情もわかります。装置が高価となるため、現在は限られた病院にしかありませんが、心臓精査などにおいてはより精度の高い検査情報が提供できるため、今後の発展が望まれます。

このようにエコー診断が進んだ中であっても、エコーのみの結果だけで実際に診断・治療となる訳ではありません。他の画像診断や採血(血液生化学検査など)結果、病理診断(組織・細胞)などを基に総合的に医師が判断します。エコーの利点は、病状の治療前後で経過観察を容易にできる点も挙げられると思います。

逆にエコーの弱点として、体形などによる条件で診断能力が左右されること、実施する人の技量や知識不足によって診断が違ってくることが挙げられます。より正しいエコー診断を行うためには、いろいろな病気の知識、専門的な知識の他にテクニックも要求されます。従来医師が殆ど行っていたエコーは、今はその大半を臨床検査技師が実施するようになりました。我々技師はより正しい結果を出す為の研鑽を怠らず、各々が積極的に研修会や実技トレーニングに参加し、エコー専門の資格取得にも励んでおります。

現在、エコーに携わっている臨床検査技師が八戸地区にも約50人おります。都会に比べ田舎での医師不足が懸念される昨今、これからの臨床検査技師の活躍に少しでも注目していただければと思います。

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