閉じる
HOME
診療科のご案内
当院のご紹介
ご来院の皆様
採用情報
診療科・各部門
各種ご案内


HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫  平成23年5月号

うみねこ通信 No.143 平成23年5月号

低温やけどにご注意

形成外科部長  荒 道人

今回の東日本大震災では、長時間の停電により暖房が使えず、かなり寒いおもいをされた方も多いことと思います。このような災害による長時間の停電、また昨今のエコロジーブームなどにより、湯たんぽを使っている方が増えているようです。そのためなのか、湯たんぽによる低温やけども増えています。当科を受診される患者さんも、例年より多いようです。なお平成21年11月には、独立行政法人 製品評価技術基盤機構により、「低温やけどの事故防止について」という注意喚起も行われています。


低温やけどは、普通はやけどをおこさない心地よく感じる低い温度であっても、長時間皮膚に接触することによっておこります。(たとえば、製品安全協会によれば44℃で3~4時間、46℃では30分から1時間でおこすとされています。)そのため、湯たんぽの他にも使い捨てカイロやコタツ、電気カーペット、トイレの便座、ノートパソコンなど、様々なものが原因で生じる可能性があります。


やけどの深さは、(うみねこ通信、平成13年12月号にも書きましたが)表皮までのⅠ度、真皮まで達するⅡ度、皮下組織まで達するⅢ度に分類されます。通常のやけどでは皮膚の表面から障害されますので、見た目で深さの判断をすることが、ある程度は可能です。しかし低温やけどが怖いのは、低い温度でゆっくりと組織が障害されるため、皮下組織まで壊死に陥ることが多く、初めはⅠ度、Ⅱ度に見えても実はⅢ度であることが多いということです。Ⅲ度であった場合は、時間の経過とともに皮膚の部分も壊死してきます。壊死した皮膚は再生しませんから、取り除かなければなりません。そのため、やけどの大きさにより手術が必要になる場合があります。手術が必要でない場合でも、治るまでかなりの時間がかかります。


通常のやけどでもそうですが、低温やけどは、普段からの予防が一番大切です。これからは暖かくなりますが、今年の冬に向けて、湯たんぽやカイロは使用上の注意をよく読んで、直接皮膚に触れないようにして使う。酔っぱらってコタツや電気カーペットの上で眠らないように気をつける。ストーブやファンヒーターなどの暖房器具をからだのすぐ近くに置かない。ノートパソコンを長時間膝の上で使用するなど熱の出るものを皮膚の同じ場所に長時間接触させないなど、心がけましょう。また、幼い子供や高齢者では、周囲の人たちがしっかりと気をつけてあげましょう。糖尿病や麻痺のある方も低温やけどに気がつかない場合がありますので、注意してください。賢く使って快適な生活をおくりましょう。

このページの先頭へ