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うみねこ通信 No.144 平成23年6月号

熱中症とは

健康診断部部長  宮澤 正

22年夏は異常ともいえる猛暑が各地で続き、熱中症による死亡者数500人以上となりました。今年の夏は、東日本大震災と福島第一原発事故の影響で、電力供給不足が予測されています。猛暑が重なれば、再び多くの命が危険に曝される可能性があり、熱中症対策をたてておく必要があります。

熱中症とは
 高温多湿の環境で、体の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が破綻するなどして、発症する障害の総称です。
 私たちの体内ではエネルギー代謝が行われていて、常に熱を発生しています。これらの熱は血液によって体のすみずみに伝えられて体温となります。体温がほぼ一定に保たれているのは、一方で熱が生産され、他方でこれを体外へ放散して、産熱と放熱のバランスが保たれているからです。体熱の放散は、その約90%が皮膚でおこなわれます。
 暑い時には、私たちの脳は自律神経を介して末梢血管を拡張させます。そのため皮膚に多くの血液が集まり、体周囲の空気への熱放散が増加し、体温を低下させます。また、汗は体液の水分から作られますが、汗の量が増加すると蒸発熱が多く奪われ、体温を低下させることができます。しかしながら、あまり多く汗をかきすぎると、体内の水分や塩分が不足する脱水状態が起き、汗をかけなくなります。
 このように、体内の血液分布の変化や、発汗で起こる水分や塩分不足の状態に応じて、私たちの体が適切に反応できなければ、筋肉のこむらがえりや熱失神(いわゆる脳貧血:脳への血流が一時的に滞る)を起こします。そして、熱産生と熱放散のバランスが崩れ、体温中枢まで障害されると、体温が著しく上昇してしまいます。
 このような状態が熱中症です。

熱中症を引き起こす条件

 

・環境条件としては、

「気温・湿度が高い」・「風が弱い」・「日差しが強い」・「照り返しが強い」

・からだの条件としては、

「激しい労働や運動」・「暑い環境に体が順応していない」

・どのような人がなりやすいか、

「脱水状態にある人」・「高齢者・肥満の人」・「過度の衣服を着ている人」・「普段から運動をしていない人」・「病気の人、体調の悪い人」・「心臓疾患、高血圧、糖尿病、精神神経疾患等の薬剤を服用している人」・「飲酒して脱水のある人」


このような症状があれば・・・

 

<重症度Ⅰ度>

「めまい、立ちくらみがある」、「筋肉のこむら返りがある(痛い)」、「汗がふいてもふいても出てくる」…水分・塩分を補給しましょう。

 

<重症度Ⅱ度>

「頭ががんがんする(頭痛)」、「吐き気がする・吐く」、「からだがだるい(倦怠感)」
涼しいところで、足を高くして休みましょう。水分・塩分を摂りましょう。自分で水分・塩分を摂れなければすぐに病院へ。

 

<重症度Ⅲ度>

「意識がない」、「体がひきつける(痙攣)」、「呼びかけに対し返事がおかしい」、「真直ぐに歩けない、走れない」、「高い体温である」、「赤い・熱い・乾いた皮膚(全く汗をかかない、触るととても熱い)」… 熱中症の危険信号


熱中症を疑ったときには何をするべきか

 

救急隊を呼びましょう。到着する前に、現場で体を冷やし始めることが必要です。

 

<現場での応急措置>

 

①涼しい環境への避難

風通しのよい日陰や、できればクーラーが効いている室内などに避難させましょう。

 

②脱衣と冷却

・衣服を脱がせて、体から熱の放散を助けます。

・露出させた皮膚に水をかけて、うちわや扇風機などで扇ぐことにより体を冷やします。

・氷嚢などがあれば、それを頚部、腋窩部(脇の下)、鼠径部(大腿の付け根、股関節部)に当てて皮膚の直下を流れている血液を冷やすことも有効です。

・深部体温で40℃を超えると全身痙攣(全身をひきつける)などの症状も現れます。

・体温の冷却はできるだけ早く行う必要があります。




熱中症の予防にはWBGT *1を測定しましょう。
*1 WBGT(WetBulb-Globe-Temperature)
湿球黒球温度:温度、湿度、輻射熱、気流すべての温熱環境要素を含む温熱指数。

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