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うみねこ通信 No.146 平成23年8月号

「子宮頸(けい)がんワクチン」を、ご存じですか
~子宮頸がんは、「予防可能ながん」です~

産婦人科部長  梅本 実香


●「子宮頸がん」とは
 子宮がんには、大きく分けて2種類あります。子宮の入り口にできる「子宮頸がん」、子宮内膜(子宮の奥)にできる「子宮体がん」です。生活習慣の変化などにより、近年は子宮体がんも増えていますが、現在でも「子宮頸がん」の割合が多いです。日本では、1年間に約15000人が「子宮頸がん」を発症し、約3500人が亡くなっています。最近は、特に20~30代の若い女性に「子宮頸がん」が増加しており、この20年間で、なんと6倍に急増しています。妊娠や出産に支障を来たしたり、育児や仕事に影響が大きい年代です。がんは中高年の病気だという考えは、子宮頸がんには当てはまりません。

●「子宮頸がん」の原因
 子宮頸がんは、発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)に長い間感染することで、発症することが分かってきました。発がん性HPVの感染は、決して珍しいことではありません。性交経験のある女性の80%が一生のうちに一度は感染する、20代の女性は25%程度が感染している、という統計が出ています。ただし、感染すると必ず子宮頸がんを発症するのではありません。 多くは、免疫力によって自然消失しますが、約10%は感染し続けて子宮頸部の細胞に異常が起き、さらにその一部が子宮頸がんへと進行します。
 幸い、免疫の力でウイルスが自然に消失したとしても、自然感染の場合は抗体が消えやすいので、機会があれば何度でも感染します。
 10数種類ある発がん性HPVの中でも、特に発がん性の高いタイプが16型、18型です。日本の子宮頸がんの67%が、これらの型に感染しているとの報告があり、しかもこれらの型は、がんに進展するスピードも早いことが知られています。

●「子宮頸がんワクチン」とは

 文字通り、子宮頸がんを予防するためのワクチンです。現在、使用可能なワクチンは、特に発がん性の高いHPVの16型、18型の感染を防ぎます。このワクチンは、ウイルスの外殻だけを人工的に合成したもので、遺伝情報は含まれていないので、ワクチンを接種したせいでがんに罹ることはありません。具体的には、初回・1か月後・6か月後の合計3回接種することによって、予防効果が確立します。
 性的接触を持つ前のワクチン接種が、最も予防効果が高いので、八戸市でも昨年度から、中学生~高校1年生までを対象とした公費負担が始まりました。(注:全国的に公費負担が開始となったため需要が急増し、ワクチンの安定供給に支障が出ています。執筆現在、昨年度接種できなかった、今年度高校2年生に限り、ワクチン供給が再開しています。公費負担の対象者がいらっしゃるご家庭では、広報等の情報にご注意下さい。)
 性交経験後のワクチン接種でも、子宮頸がんの発症率を下げる報告が出ています。それは、今感染しているウイルスは自力で排除できるかもしれないが、今後、発がん性の高いHPVに再感染しなくて済むからです。
ワクチンの注意点は、
 ①現在、既に感染している場合には、治療効果はない
 ②16型、18型以外のHPVには無効なので、子宮頸がんを100%予防できるわけではない
 だから、ワクチンを接種しても、子宮頸がんの検診が必要なのです。

●「子宮頸がん」は、予防できます!
その理由は、下記の通りです。
 ①主な原因が、発がん性HPVの感染だと判明している
 ②前がん病変が存在する→ということは、早期発見が可能
 ③有効な検査方法(細胞の検査)が確立している
 ④予防ワクチンの登場
 不正出血などの自覚症状が出た時には、既に進行がんになっていることもあります。
 予防のためにワクチン接種を、早期発見のために1年に1度の子宮がん検診を、是非受けましょう!

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