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産婦人科部長 梅本 実香
●「子宮頸がん」とは
子宮がんには、大きく分けて2種類あります。子宮の入り口にできる「子宮頸がん」、子宮内膜(子宮の奥)にできる「子宮体がん」です。生活習慣の変化などにより、近年は子宮体がんも増えていますが、現在でも「子宮頸がん」の割合が多いです。日本では、1年間に約15000人が「子宮頸がん」を発症し、約3500人が亡くなっています。最近は、特に20~30代の若い女性に「子宮頸がん」が増加しており、この20年間で、なんと6倍に急増しています。妊娠や出産に支障を来たしたり、育児や仕事に影響が大きい年代です。がんは中高年の病気だという考えは、子宮頸がんには当てはまりません。
●「子宮頸がん」の原因
子宮頸がんは、発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)に長い間感染することで、発症することが分かってきました。発がん性HPVの感染は、決して珍しいことではありません。性交経験のある女性の80%が一生のうちに一度は感染する、20代の女性は25%程度が感染している、という統計が出ています。ただし、感染すると必ず子宮頸がんを発症するのではありません。
多くは、免疫力によって自然消失しますが、約10%は感染し続けて子宮頸部の細胞に異常が起き、さらにその一部が子宮頸がんへと進行します。
幸い、免疫の力でウイルスが自然に消失したとしても、自然感染の場合は抗体が消えやすいので、機会があれば何度でも感染します。
10数種類ある発がん性HPVの中でも、特に発がん性の高いタイプが16型、18型です。日本の子宮頸がんの67%が、これらの型に感染しているとの報告があり、しかもこれらの型は、がんに進展するスピードも早いことが知られています。
●「子宮頸がんワクチン」とは