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うみねこ通信 No.159 平成24年9月号

臨床輸血認定看護師として
~より安全な輸血療法実施をめざして~

看護師長補佐・臨床輸血認定看護師 佐々木 悦子

「臨床輸血認定看護師」という資格制度をご存知ですか?2010年から新設された、まだ新しい資格制度です。この資格制度の目的は「副作用、合併症を伴いやすい輸血において特に患者に最も近いところで臨床輸血に関与する看護師には、輸血に関する正しい知識と的確な看護能力が求められる。臨床輸血に精通し、安全な輸血に寄与することができる看護師の育成を目的とする」とされています。この資格は一定の条件を満たす看護師に受験資格があり、資格取得後も5年毎に求められている基準を満たしているか、資格審査を受ける必要があります。第1回2010年は133名、第2回2011年度は153名の合格者があり、(青森県内6名合格)現在全国で286名の認定看護師が誕生しています。私は2011年に受験し、資格取得することができました。
 ところでみなさんは輸血というとどのようなイメージをお持ちでしょうか。救急車で搬送されて来る出血している患者さん、病気のため貧血となり今にも倒れそうな患者さん。そのような場面で血液製剤を点滴投与されている患者さんが「輸血」と聞いてみなさんがイメージする姿だと思います。
 輸血療法とは、血液成分の不足を自他の、血液から補う治療法とされます。他人からの献血血液を輸血する他に、手術などであらかじめ準備できる場合には、自分の血液を貯血(一定の期間をかけて自分の血液を採血し、貯めておくこと)しておき、それを輸血する自己血輸血という輸血方法もあります。どちらの方法も有効な治療法である反面、人によっては副作用が現れることがあります。このため、他の治療方法の説明と同様に輸血療法を実施する場合は医師からの説明が充分にされた上で治療法を選択することになります。ここで大切なのは「他人からの献血血液を輸血することは、血液を臓器の1つと考えればもっとも頻繁に行われている臓器移植」といえることです。
 このため輸血に際しては輸血前から輸血後まで様々な検査、安全対策を実施し、副作用出現を防ぐ、あるいは早期発見する、副作用が出現しても最小限とするための対策がとられています。このように何重にも対策を立てて安全に輸血療法は実施されています。
 この中で看護師が輸血療法に関わる場面は数多くあります。まず、輸血が必要か判断の基準となる最初の採血から、医師から指示が出された血液製剤の申し込み、血液製剤受け取り、実際に患者さんへの輸血製剤点滴投与、輸血中、終了後の観察、退院後輸血後おおよそ3か月後での輸血後感染症採血の説明などです。この過程では看護師のみでなく医師、臨床検査技師など多くの職種が関わり、その都度ダブルチェックで安全確認がされています。臨床輸血認定看護師として私は看護師の立場から、これらの過程での安全性を高めるとともに、他職種に関わる業務がスムーズに流れるように、コーディネーター的な役割を果たしたいと考えています。
 まだまだ新しい認定資格ですので、他施設の輸血認定看護師の活動も未知数です。今は安全な輸血療法が実施されるよう、日々の業務に努めている状況です。自分の中でも今後の活動は試行錯誤の段階ですがより安全な輸血療法を提供できるよう周囲の協力を得ながら今後頑張っていきたいと思います。

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