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うみねこ通信 No.172 平成25年10月号

緩和ケアについて

緩和ケア認定看護師 鈴木 幸子・宮野 紀子

「緩和ケア」という言葉を聞いたことがありますか?「もう治療が出来なくなって、末期の状態に行われるケアだ」と思う方が多いのではないでしょうか?緩和ケアの本来の意味は、患者さんの体や心のつらさを和らげ、生活やその人らしさを大切にする考え方です。WHOでは、緩和ケアを以下のように定義しています。

WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002年)

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、適切なアセスメントと対処を行うことによって苦しみを予防し、和らげることでQOL(クオリティー・オブ・ライフ:生活の質)を改善するアプローチである。

従来は、がんの治療による効果が望めなくなった患者さんが緩和ケアに移行すると考えられていました。しかし、現在ではがんと診断された時から治療と並行して行われるべきケアとされ、がんの全ての治療経過に関わるものと考えられています(図参照)。そして緩和ケアの対象患者さんは、がんとエイズとされていますが、それ以外の病気を抱える患者さんへの緩和ケアの重要性も言われ始めています。

がんの治療と緩和ケアの関係

がんの療養中は、痛みや吐き気、食欲不振、だるさ、気分の落ち込みなど、心や体の問題が患者さんの日常生活を大きく妨げます。そして、これらの問題を経験する患者さんは少なくありません。今までのがん医療の考え方では、患者さんの「つらさ」に対応できず、「がんを治す」ということに関心が向けられていました。しかし、最近では、患者さんががんとともに自分らしく生きて行くといった「生活の質」も重要と考えられるようになってきています。

もし、あなたやあなたの家族が、がんになったら大切にしたいことは何ですか?

日本人の多くの方が共通して大切にしていることは、苦痛がないこと、望んだ場所で過ごすこと、信頼できる人がいること、自分の事は自分でしたい、人として大切にされたい、人生を全うしたと感じることなどが挙げられています。現在、がんは男性の2人に1人、女性の3人に1人が患う病気と言われています。がん検診による早期発見や、がん治療の発展により、がんと診断された後も長期にわたり病気を抱えながら生活する時代になってきました。そのため、もし自分ががんになったらどう過ごしたいか、普段から家族や周りの大切な人と話し合う機会を持ってみてはどうでしょうか。

私達は認定看護師としてスタートをきったばかりでまだまだ未熟ではありますが、患者さんの希望や大切にしたいことをお聞きしながら、それぞれ専門職(医師・薬剤師・栄養士・ソーシャルワーカー・理学療法士など)と連携しながら、その人らしく生活できるよう支援していきたいと考えています。一緒に考えていきましょう。

 

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