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うみねこ通信 No.170 平成25年8月号

採血室における患者さんとの会話の中から

主任検査技師 武部 睦子

―臨床検査技師という職業をご存知でしょうか?―

臨床検査技師は、医師の監督指導のもとに患者さんから採取した血液・尿・便などの検体を使っての検査(検体検査)や心電図・超音波など患者さんに直接触れての検査(生理学的検査)を行うことができ、医師が病気の診断や治療方針、予後の判定をするために必要な情報を提供する医療職種です。また、診療の補助としての採血も業務の一環として認められており、政令で定められた部位から検査が目的の場合に限り採取できます。

当院でも数年前より臨床検査技師が採血室において採血業務に携わっています。その際、患者さんとの会話の中からよく質問されることや採血後の止血などについてお話します。

【よく質問されること】

<質問>こんなに採ったら血液がなくなるのでは?
<答え>私達の体を流れている血液の量は個人差はありますが、通常成人の場合、男性で体重の約8%、女性で約7%と言われています。例えば、体重60kgの男性では約4,800ml、女性では約4,200mlの血液が体内を流れています。献血をした場合、体の中の赤血球数は200ml献血では約2~3週間、400ml献血では約3~4週間で元に戻ると言われています。一回に採血される血液は、数mlから多くても20ml以下で体全体の1%にも満たないため、採血で血液がなくなるという心配はなく、身体への影響もほとんどありません。
<質問>なぜこんなにたくさんの本数を採るの?2本採ったり3本採ったりするけどどうして?
<答え>採血容器は検査項目によって異なり、たくさんの種類があります。
検査項目によっては血液を固めたあとの液体(血清)を使って検査するものや固めないようにして赤血球や白血球の数や形を調べるものなどがあります。固めないようにした採血管には薬剤が入っていて薬剤の違いにより数種類あります。そのため検査項目によって採血管の種類が異なり、数本に分けて採血しなければなりません。通常1~3本で10ml位、多くても5~6本で20ml位の採血量が一般的です。患者さんの状態を把握するため、いろいろな検査をすることで採血容器の本数が多くなります。
採血管の種類と用途

【採血時の止血に関するお願い】

採血後の不十分な止血操作などが原因で血が止まりにくかったり、表面的には止血されていても血管壁の止血が不十分なために内出血を起こして、採血した跡が青くなったりすることがあります。採血部位は揉まないで止血を確認するまで3~5分程度しっかり押さえて下さい。アスピリンなどの抗血小板薬やワーファリン、ヘパリンなどの血液をさらさらにする抗凝固薬の服用などにより、血液が固まりにくい場合は特に長めに圧迫して下さい。

なぜ、圧迫することが止血に大切かというと、採血の時、血管に傷が付くと血液中の血小板や血液凝固因子が活性化して粘着・凝集を始め血小板血栓を形成し、出血を止めようとする働きをします。例えば、台風などで河川の堤防が決壊した場合、まず土嚢などで決壊場所を塞ぎ、堤防からの水の流出を防ぐ作業をし、その後鋼鉄製のネットなどで補強し、より強固な防御壁を作り堤防から川の水の流出を防ぎます。つまり、採血部位を圧迫するということは、血流量を減らし、土嚢にあたる血小板形成を助けることになり、穿刺部位を揉むという行為は、この土壌にあたる部分を壊すことと同じになります。

採血室では、細心の注意を払って採血していますが、時には採血針を刺しても採血できない場合や一回の採血で必要量を採取できない場合は再度採血させていただくことがあります。採血時の消毒用のアルコールに過敏な方、止血時のテープにかぶれやすい方はお知らせください。また採血取り間違え防止のためご自身のお名前を名乗っていただきますので、ご協力お願い致します。

 

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