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うみねこ通信 No.175 平成26年1月号

加齢黄斑変性

眼科部長 木村 百子

加齢黄斑変性とは

その名の通り加齢に伴って起こる眼の黄斑といわれている部分の病気です。黄斑は、網膜(眼をカメラに例えるとフィルムの部分)の中央にあり、網膜の他の部分に比べて視力を出す能力が格段によく、物を見る機能の中心的な働きをする場所です。この大切な黄斑に異常な老化現象が起きるのが加齢黄斑変性です。加齢黄斑変性になると見たい対象の中心がゆがんで見え、進行すると失明する場合もあります。

この病気は、欧米では以前から成人の失明原因の第1位として知られていました。欧米に比べて少ないと言われていた日本でも、高齢化やライフスタイルの変化に伴いこの30年で増加してきて、現在は緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症に次いで、失明原因の第4位となっています。患者のほとんどは60歳以上で、日本では女性より男性に多い疾患です。

原因

加齢黄斑変性の原因は詳しいことはまだ分かっていませんが、体質(遺伝的な要素を含む)に加え、太陽光などの強い光に長年さらされたり、受動喫煙などの環境要因、そして本人の喫煙や食事などの個人要素が関連しているといわれています。

症状

加齢黄斑変性の症状は、見たいものの中心が見えない、ゆがむ、暗くみえる、などで、片眼に症状が出ても軽い場合、両眼で見ていると気がつかないことがあります。なにかの折にいい方の眼がふさがれて、気がつくようです。片方の眼で見ると、新聞の中央が部分的に暗く見えたり、表がゆがんで見えたりしたら、眼科を受診することをお勧めします。

病型

加齢黄斑変性には、委縮型と浸出型という2つのタイプがあり、視力の経過や治療法が異なります。

1) 委縮型

網膜の色素上皮が老化のために委縮し、網膜が変性するタイプです。進行はとても遅く、病変がものを見る中心に及ばなければ視力低下は起こりませんが、有効な治療法は知られていません。なかには次の浸出型に移行することもあります。

2) 浸出型

浸出型は、正常な状態では存在しない異常な血管である新生血管が、網膜の奥の脈絡膜という組織から黄斑付近に発生し、もともと正常な血管ではないため構造が弱く、出血や水分の浸出を起こし網膜を障害していきます。委縮型より病気の進行が早く、視力低下やゆがみが強くなること、またまれに眼の中で大出血を起こし、全く見えなくなることもあります。

治療

加齢黄斑変性の疑いがあれば、新生血管の有無、場所を調べるために静脈の中に造影剤を入れて眼底の写真を撮る蛍光眼底造影検査を行い、治療の必要な状態か、新生血管がどこにできているかを確認します。新生血管の位置によってレーザー光凝固、光線力学療法(PDT)、あるいは眼の中の硝子体という場所に血管内皮増殖因子の働きを抑える薬を注射する方法のどの治療が適切か判断します。しかし、どの治療も一旦変性し傷ついた網膜を治すことはできません。病気の進行を抑え、視力や見え方の現状維持を図るための治療です。

変性によって一度障害された網膜の機能は回復しないので、視力低下は一生残ってしまいます。

早期発見のためには眼底検査の含まれた健診を受けることをお勧めします。

 

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