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うみねこ通信 No.184 平成26年10月号

泌尿器科とアンチエイジング

第二泌尿器科部長 伊藤 弘之

アンチエイジング(抗加齢:Anti-Ageing)医療は、『加齢により引き起こされる病的プロセスを遅らせ、人生の質的、量的改善を目指す医療である』と定義されます。人間の最大寿命は染色体から算出すると120年ほどといわれていますが、実際は残念ながらずっと短いです。この「期待寿命」を阻むものが老化因子と考えられ、遺伝子による支配、免疫力の低下、酸化ストレスなどによる組織変性、ホルモンの低下などがあげられ、これらが複合的に作用していると考えられています。今回は泌尿器科におけるアンチエイジングについて、書かせていただきます。

1.テストステロン(男性ホルモン)とアンチエイジング

中高年男性におけるテストステロン分泌の低下は、加齢に伴って増加するメタボリックシンドロームや心血管疾患、さらに身体機能や認知機能の低下にも関連することがわかってきました。テストステロンの低値により、様々な身体症状やうつなどの精神症状を呈することがあり、このような患者さんに対してはテストステロン補充療法を行うことがあります。1日30分程度の運動でもテストステロン濃度は増加することがわかっており、普段から運動するように心がけましょう。

2.腎臓のアンチエイジング

腎臓の主な働きは、血液中の不要になった老廃物や塩分を濾過して、尿として排泄することであり、またその他に血圧の調整、造血ホルモンの分泌など、様々な働きをしています。加齢は腎臓にとっても避けられませんが、加齢のみで腎不全へと至ることはまれです。しかし、高血圧や糖尿病といった生活習慣病が重なると、腎への負荷はさらに大きくなり、腎不全へと至ることがあります。また、腎機能の低下は、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の発症を増加させることが分かっています。このため、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防が大切であり、普段の食生活におけるバランスのとれた食事が腎臓のアンチエイジングにつながります。

3.前立腺癌のアンチエイジング

高齢男性における前立腺癌の罹患率は急速に増加しています。発生には人種、遺伝、食事、炎症などが関与していると考えられており、前立腺癌の予防には食事・運動の重要性が認識されるようになってきました。大豆イソフラボン、茶カテキン、リコピン(トマトなど)、クルクミン(ウコン、ターメリック)などが前立腺癌発症予防となる可能性が言われており、このような食生活をはじめとするライフスタイルの改善で癌予防を行っていきましょう。

4.夜間頻尿とアンチエイジング

夜間頻尿の原因としては、加齢、不眠、糖尿病、肥満、前立腺肥大症などがあげられます。最近では、動脈硬化や心不全、腎不全、低栄養も夜間頻尿の悪化に関与していることが分かってきました。すなわち、夜間頻尿は生活習慣病の一症状として認められることがあり、生活習慣病の予防がやはり大切です。

5.おわりに

健康寿命を目指す上で、単一の症状、疾患に対して予防するのではなく、心身の全体を包括するような予防が様々な疾患の予防へとつながり、それは泌尿器科疾患でも同様です。一般的なこととはなりますが、毎日の食生活の改善や運動を行い、元気で充実した長寿を目指しましょう。

 

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