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うみねこ通信 No.186 平成26年12月号

ばね指について

第3整形外科部長 小 川 太 郎

朝起きたときに指が痛くて、曲げ伸ばしをするとカクッと引っかかりを感じるようなことはありませんか。それはばね指かもしれません。

ばね指の症状

手のひらの指の付け根に固い部分ができ、押すと痛みを感じます。指を動かすとカクッという引っかかりを感じます。朝起きたときに一番症状が強く、日中は軽減します。ひどくなると指を完全に伸ばすことができなくなります。親指、中指、薬指に多く、人差し指、小指にはあまりみられません。

ばね指の原因

指を曲げる腱(屈筋腱)に炎症が起こり、腱の通り道にあるトンネル(靭帯性腱鞘)で引っかかるようになるために起こります。更年期の女性に多くみられます。妊娠中、出産後にもよく見られます。また、糖尿病のある方、人工透析を受けている方には多発することがあります。朝起きたときに症状が強いのは、夜間寝ている間は指を動かさないために、屈筋腱がむくむためだと推測されています。指を動かしていると屈筋腱のむくみが減少するので、日中には引っかかりが少なくなるのだと考えられています。

ばね指の治療

当科ではばね指を3つのステップで治療しています。第一段階はストレッチです。指の付け根から指にかけて塗り薬をすり込み、指を伸ばすように反対の手でストレッチをします。はじめは痛いのですが、繰り返しているうちに動きがスムーズになっていきます。症状が軽いものでは、ストレッチだけで十分な回復が期待できます。指の固定は行いません。

ストレッチで十分な回復が得られないものには、第二段階として注射を行います。少量の局所麻酔薬と、ステロイドを混ぜたものを指の付け根の手のひら側に注射します。いくつかの研究で、ばね指によく効くステロイドがあることがわかっています。トリアムシノロン(商品名ケナコルトA)という薬剤を5㎎使用します。ただし、頻繁に注射すると屈筋腱が弱くなり、切れてしまう恐れがあるため、一度注射をすると、3、4か月は間をあけなければいけません。たいていの場合は、一度注射をすると痛みが楽になって指を使いやすくなります。しかし、痛みが十分に取れない場合や、痛みが取れてもまたすぐ症状がぶり返す場合、あるいは痛みが取れても引っかかりが残って不便な場合は、第三段階の治療に進みます。

第三段階は手術による治療です。局所麻酔を行い、指の付け根の手のひら側を1㎝程度切開し、腱の通り道にあるトンネル(靭帯性腱鞘)を切り開きます。30分程度の手術で、入院の必要はありません。手術の傷は10日程度で治ります。手術は症状をとるために確実な方法ですが、感染の危険性や神経障害の危険性など、合併症の可能性が無いわけではありません。

ばね指かなと思ったら

ここにお示ししたような症状が出た場合には、まずストレッチを2週間してみましょう。症状が出始めの場合には、それだけで改善することも多いのです。それでも症状が続くなら、整形外科を受診してご相談ください。痛みを和らげるお手伝いをいたします。

 

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