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うみねこ通信 No.183 平成26年9月号

放射線治療について

第二放射線科部長 近藤 英宏

放射線には様々な種類のものが有りますが、こと医学利用されている放射線は99%X線です。
 X線は1895年11月8日にレントゲン博士により発見され(X線とレントゲン線は同じものです)、翌年にはすでに癌治療に用いられました。当初のX線はエネルギーが弱く体の浅い臓器(主に皮膚癌・乳癌等)に主に用いられておりました。しかし発見後約120年改良が進められ、現在では文字通り頭の天辺から足の先まで治療可能となっております。具体的には脳、頭頸部(耳鼻咽喉科領域)、肺、食道、乳腺、肝・胆・膵、結腸・直腸、婦人科、泌尿器科、骨・軟部などの腫瘍に放射線治療は対応しています。尚、来年2015年にはX線発見から120周年となります。
 1985年以降、日本人の死亡原因の第一位は悪性腫瘍であり、現在では2人に1人は一生涯のうちにがんに罹患し(がんになっても致死的ではありません)、3人に1人がんが原因で死亡します。放射線治療は手術・化学療法(抗癌剤治療)とともにがんの積極的治療の一翼を担っています。小さいがんの場合は一つの治療法で治る場合が多いですが、進行したがんの場合は3者組み合わせて治療を行います。
 放射線治療の特徴として、1)患部を切除しないで治療するため、機能・形態の温存に優れてる、2)いかなる部位でも(理論上は)自由に治療可能、3)体の負担が少なく、合併症を有する患者さんや高齢者にも適応できる、特に高齢化社会の急速な到来を控えて放射線治療の役割はますます大きくなると思われます。
 放射線治療はその目的に応じて、根治的放射線療法・緩和的放射線治療・予防的放射線療法に分けられます。
 根治とは治癒を目的として治療です。早期の癌であれば放射線治療単独でも完治できる場合があります。具体的には頭頸部癌・肺癌・食道癌・前立腺癌・子宮頸癌・皮膚癌の一部・乳癌・悪性リンパ腫等の早期症状が適応となります。進行がんの場合、放射線治療だけでは根治は困難となります。手術前・後や、抗癌剤治療に併用して放射線治療を使用しています。
 緩和的放射線治療とは、完治は期待できませんが患者の苦痛の軽減や、一時的な症状改善などの目的とした治療です。具体的には、骨に腫瘍が転移し疼痛を生じた場合の緩和(疼痛緩和率70%)と病的骨折の予防、脳に転移した場合の神経症状の改善(適切に治療を行えば神経死は90%予防できます)、進行食道癌・胃癌に対する通過障害の改善等が挙げられます。近年の化学療法の発達により長期生存する患者さんが増えているため、放射線治療の適応はますます増加すると思われます。
 予防的放射線治療
 手術後の局所再発予防目的(主に乳房温存手術後)や、肺小細胞癌照射後に脳転移を予防するため放射線治療を行います。
 放射線治療に関わる人たち
 放射線治療は、様々な専門の医療職種からなるスタッフがチームとなって行います。放射線治療医、医学物理士(放射線量の計測や測定を行い最適な照射方法を放射線治療医とともに決める)、診療放射線技師(実際に照射を行う)、看護師(治療の間、患者さんと家族のケアを行う)などが協力して診療を行っていきます。
【まとめ】放射線治療のうち一番多く行われる外照射は通常4週から7週間程度、土日、祝日を除いて毎日行われます。実際の放射線照射時間は10分程度です。X線を用いているため痛みや熱さは感じません。またX線照射を受けることにより患者さん自身が放射線をもち、家族に影響があるなどということはありません。
 患者様の病気(がん)の治療のために、放射線治療医、診療放射線技師、看護師が全力をあげて協力しますので、なにか疑問な点があればいつでもお尋ねください。

 

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