閉じる
HOME
診療科のご案内
当院のご紹介
ご来院の皆様
採用情報
診療科・各部門
各種ご案内


HOME ≫ 各種ご案内 ≫ 広報誌のご案内 ≫ うみねこ通信 ≫ バックナンバー ≫  平成27年6月号

うみねこ通信 No.192 平成27年6月号

食物アレルギーやハチ刺し事故の緊急時に
使用する携帯薬をご存知ですか?

主任薬剤師 上林 崇

厚生労働省の調査では、全国で毎年50~70人ほどが『アナフィラキシー』と呼ばれる全身性の急性アレルギー反応のため、亡くなっています。原因としては、薬物アレルギーが最も多く、次いでハチ毒、食物アレルギーの順となっています。食物アレルギーや薬物アレルギーは、原因となる物質を摂取しないよう注意する事で防ぐ事ができますが、ハチ刺し事故は予測できません。しかしハチに刺されて亡くなる人は、毎年20~30人にものぼり、過去には70人以上が亡くなった年もあります。ハチに刺されても、ハチ毒にアレルギーのない人であれば、強い痛み・かゆみ・発赤・はれ、といった局所症状が現れるだけで、数日で消失します。しかし、ハチ毒アレルギーの人では極めて強い反応が起こり、嘔吐・寒気・全身の蕁麻疹といった全身症状から、呼吸困難・めまい・意識障害などの症状を伴う事があります。血圧低下等の症状が急激にあらわれると、ショック症状を引き起こし、時には死に至る事もあります。過去にスズメバチに刺された事のある人が再び刺された場合、ハチ毒によるアナフィラキシー・ショックを起こしやすいといわれています。

医療機関ではアナフィラキシーの症状を緩和する目的で『エピネフリン(アドレナリン)』という薬が使われます。エピネフリンは、気管支や血管に働いて呼吸困難や血圧低下等のアナフィラキシー症状を改善します。また、アレルギー反応を引き起こす物質が体内で放出されるのを抑える働きがあるといわれています。

医師から処方される薬で、『自己注射用エピネフリン注射液』があります。自己注射とは、患者さん自身で薬を注射することです。自己注射用エピネフリン注射液は病院で適切な治療を受けられるまでの間、重篤な症状が出るのを抑えるための薬です。今までハチ毒や食物によるアナフィラキシーを経験したことがある方や、その危険性が高いと予想される方、中でも野山で作業をする機会の多いハチ毒アレルギーの方は、万一の事故に備えて自己注射用エピネフリン注射液を携帯する等の対策をとる事が望ましいでしょう。

スズメバチが攻撃的になるといわれる8月下旬から、10月にかけては、特にハチ刺し事故の多い季節です。野山へ出かける際は、ハチに刺されないための十分な対策をとって出かけましょう。

なお、自己注射用エピネフリン注射液を処方してもらう際の費用ですが、保険適用になる場合と、ならない場合で異なります。保険適用になる場合は3割負担で4,500円程度となりますが、保険適用にならない場合は、自由診療のため医療機関によって異なりますが、おおよそ1万5千円前後となります。

また、自己注射用エピネフリン注射液は、講習を受け登録された医師だけが処方できる薬剤となっていますのでご注意ください。青森労災病院では5月時点で、外科、消化器内科、小児科、糖尿病内分泌センター、皮膚科、泌尿器科、呼吸器内科に登録医がおりますので、当院で処方を希望される場合は各診療科外科へお問い合わせ下さい。

注)『自己注射用のエピネフリン注射液』は、血圧低下等を伴うアナフィラキシー症状を緩和する補助治療剤で、根本的に治療するものではありません。直ちに医師による治療が必要ですから、ご注意ください。

 

このページの先頭へ