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うみねこ通信 No.193 平成27年7月号

専門調理師と病院給食について

栄養管理室 専門調理師 主任 吉田 正行

皆さんは「専門調理師」という資格をご存知ですか?専門調理師とは、調理師免許を取得してから実務経験を8年以上(調理師学校卒業者は6年以上)有し、より専門的で高度な調理技術を修得した調理師が得られる「国家資格」であり、厚生労働省令で定めた学科・実技試験に合格することが必要です。学科試験では、食品と健康や安全と衛生などの幅広い知識を試されます。専門調理師には、「すし料理」「中国料理」「給食用特殊料理」「日本料理」「西洋料理」「麺料理」の6つの料理区分があり、病院給食は「給食用特殊調理」に当たります。

調理師免許交付数は、累計で約359万人(平成23年度現在)、そのうち就業調理師数は平成22年現在で約24万人であり、一番多いのは飲食業界だそうです。私たちのように病院に勤める調理師は2.7万人(平成22年度現在)います。専門調理師資格の取得者数は、累計3.4万人(平成23年)で、給食用特殊調理専門調理師は平成3年から制度化され、平成23年度(単年度)の取得者は293名で専門調理師全体の40.9%を占めています。(厚生労働省 平成25年2月発表)

さて、病院給食は治療の一環であり、すべてが医師の指示により提供されています。食事の処方箋に当たる「食事箋」には、患者さんの病態や年齢・性別などに合わせた必要栄養量が指示されます。その指示に合わせ、食材や食品を選択し、病態や症状に見合った調理法を考慮して栄養士が献立(レシピ)を作成し、調理師はそれを受けて、自らの専門的調理技術を駆使して、おいしく、安全に料理して患者さんに提供しているのです。さらに、提供した食事の食べ具合や喫食量を看護師が確認し、患者情報として医師に伝え、場合によっては食事箋の内容が検討されます。その際には、栄養量だけでなく、安全に食べられているか、治療によって食欲や味覚が変わってしまった場合には、患者さんの状態に合せた食事内容に近づけられるように相談することもあります。このように、病院給食は患者さんを含めたチーム医療の一役を担っています。(右図)

そのため、当院では「安全な食事の提供」「喜ばれる食事作り」を理念に掲げ、日々患者さんの食事作りに取り組んでいます。病院給食の目的の1つは、食事療法の実践を通して患者さんの健康の快復に貢献することです。たまに食べる外食ではなく、食べなれた家庭食を提供することに努めることで、病院食を特別なもの、今だけの食事と敬遠することなく退院後も試してみたり、家庭食のレシピに加えてもらえるとうれしく思います。

専門調理師は調理技術を駆使しますが、それは決して難しいことではなく、皆さんが食事や調理に興味を持って、健康維持のための食習慣改善に挑戦していくお手本となれるような病院給食を作っていきたいと考えています。自分のため、家族のため、また、短命県返上のため、生活習慣病予防のために食事の見直しを一緒に取り組んでいきましょう。

 

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