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うみねこ通信 No.194 平成27年8月号

気づかないうちに動脈硬化が進んでいるかもしれませんよ

臨床検査技師 高木 友幸

動脈硬化という言葉をご存知でしょうか。人間の血管には大きく分けて、心臓から全身に血管を送る静脈と、体を回ったあとの血液を心臓に返す静脈という二種類の血管があります。動脈硬化とは文字通り「血液が硬くなる状態」をいいます。19世紀のアメリカ内科医ウィリアム・オスラー博士は、「人は血管と共に老いる」という言葉を残しています。つまり、動脈硬化は加齢により誰にでも起こります。そして、動脈硬化は自覚症状がないまま進行します。健康な血管はやわらかく弾力性がありますが、加齢に加え、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、過度の飲酒、運動不足、ストレスなどの生活習慣による要因が加わると、血管の壁にコレステロールなどが付着して内腔がせまくなったり、詰まったりして血管がもろくなっていきます。この状態を放置すると、脳出血や脳梗塞(頭の血管のやぶれ、詰まり)、狭心症や心筋梗塞(心臓の血管が狭くなる、詰まる)、閉塞性動脈硬化症(足の血管が狭くなる、詰まる)などの病気にかかりやすくなり、胸の痛みや足の痛みなどの症状が出現します。日本人の死因の約3割がこれらの血管の病気といわれています。つまり、これらの病気にかかった時には、動脈硬化がかなり進行した状態といえます。最近いろいろ話題になっているメタボリックシンドロームといわれている人は要注意です。

この動脈硬化の程度を調べるための検査として、血管の詰まり具合としなやかさの両方を簡単に調べる検査であるABI/PWV(エービーアイ/ピーダブルブイ)検査を紹介します。検査にかかる時間は測定前の安静時間も含め15分程度です。この検査のみで動脈硬化に関して全てわかるわけではなく、他の画像検査や採血検査の結果などと合わせて医師の判断となります。

【ABI(エービーアイ)検査】

ベッド横になっていただき、両腕と両足首に血圧計を装着し、4ヵ所の血圧を同時に測定します。そして、腕と足首の血圧を用いて次の計算により血管の詰まり具合を調べる事ができます。
  ABI=足首の最高血圧÷腕の最高血圧(左右で高い方)
 例えば、腕の最高血圧が131mmHg、足首の最高血圧が146mmHgの場合、ABI=146÷131=1.11となります。
正常値は0.9<ABI<1.4となります。健常者の場合、足首の血圧が腕の血圧よりも少し高くなっているためABIは1以上の数値となります。ところが、動脈硬化が進行して足の血管が狭くなったり詰まったりすると、血液の流れが悪くなり足首の血圧が腕の血圧より低くなります。また、歩くと足が痛くなって歩けなくなるといった症状が現れる場合もあります。

【PWV(ピーダブルブイ)検査】

先に紹介したABI検査と同時に調べることができます。心臓から押し出された血液による拍動が血管を通じて手や足に届くまでの速度を測ることで、血管のしなやかさを調べることができます。正常な血管の場合、ゴムホースのように弾力性がありしなやかなので、拍動の伝わる速度が速くなります。

【その他】

県内で導入されている施設はまだ少数ですが、エンドパット検査という動脈硬化になる前の状態を調べる新しい検査も当院では行っています。
 ご自身の生活習慣をちょっと見直してみて、健康的な生活を送るように心がけましょう。

 

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