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うみねこ通信 No.234 平成30年12月号

骨粗しょう症に関して

第二整形外科部長 岩崎 弘英

骨の強度が低下して、骨折しやすくなる骨の病気を「骨粗しょう症」といいます。日本は人口の急速な高齢化に伴い、骨粗しょう症の患者数が年々増加しつつあり、現在約1300万人と推測されています。骨粗しょう症により骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、くしゃみをした、などのわずかな衝撃で骨折してしまうことがあります。骨粗しょう症により骨折しやすい部位は、背骨、脚の付け根、手首、腕の付け根です。とくに脚の付け根である大腿骨近位部は、骨折すると歩行が困難になり介護が必要になるリスクが高くなる骨折部位です。

日本は世界でもトップクラスの長寿国です。現在では単に長寿を目指すだけでなく、健康で自立した生活を送れる期間をあらわす「健康寿命」を伸ばすことへの関心が高まっています。日本人男性の平均寿命は80.21歳、健康寿命は71.19歳であり、およそ9年間は「健康ではない状態」で過ごしていることになります。日本人女性では平均寿命は86.61歳、健康寿命は74.21歳であり、およそ12年間「健康ではない状態」といえる状況です。骨は私たちの体や日常の活動を支える大切な器官です。骨粗しょう症を予防し、骨を健康に保つことは、健康寿命を延ばすことにもつながるのです。

骨粗しょう症は女性に多く、患者さんの80%以上は女性です。骨の強さ(骨密度)は女性の場合、18歳くらいでピークに達します。そののち40歳代半ばまでは、ほぼ一定を維持しますが、50歳前後から低下していきます。加齢によって骨密度が低下するのは、女性ホルモンの分泌量減少に加えて腸管でのカルシウムの吸収が悪くなったり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きが弱くなるなどの理由があります。またダイエットによる栄養不足、喫煙、過度の飲酒も骨が弱くなる原因の一つです。骨粗しょう症の予防のためには、まず正しい生活習慣を身に着けることが大事です。また、運動は骨を丈夫にします。散歩やゲートボールなどの趣味の範囲でじゅうぶんです。家事で毎日こまごまと動くことでも骨を強くできます。食事も大事な骨粗しょう症予防となります。厚生労働省によると、現在の日本人は、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン・ミネラルのすべての栄養素を十分とっていますが、唯一カルシウムだけは所要量に達していません。日本人のカルシウム摂取量はアメリカ人の3分の1程度と言われています。そこで、いろいろな種類の食品をバランスよく食べることを基本にして、そのうえでカルシウムの摂取を意識して行うことが望まれます。最低限、毎日の食卓にあと200ミリグラムのカルシウム、つまり牛乳1本分、豆腐なら半丁を加えることが目安です。小魚、ひじき・わかめ・のりなどの海草類、小松菜やちんげん菜などの緑黄野菜もカルシウム含有が優れています。

骨粗しょう症の検査には、骨密度測定やレントゲン撮影、採血などがあります。女性では50歳くらいから骨量が低下するため、閉経後は1年に1回程度測定するとよいでしょう。また、40~70歳(5歳刻み)の女性を対象に骨粗しょう症検診が行われています。男性は寝たきりが長かったり、胃腸・腎臓障害などがなければ、70代までは測定の必要はあまりありません。男女とも70代以降は2年おきくらいに測定するのが望ましいでしょう。

老化によって減ってしまった骨を若いころのように戻す薬はありません。しかし、最近では早期治療により、骨粗しょう症による骨折がかなり防げるようになりました。現在使われている薬は、骨の吸収(骨が溶ける)を抑える薬、骨の形成(骨を作る)を助ける薬、吸収と形成の骨代謝を調節する薬の三つに大別できます。それぞれ年齢や健康状態などで使い分けをします。医師の指示のもと、しっかり治療をすることが骨折の予防、ひいては健康寿命の改善となります。

 

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