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うみねこ通信 No.237 平成31年3月号

リハビリテーションと栄養状態

中央リハビリテーション部長 小笠原 健治

リハビリテーションと栄養状態には密接な関連があることを皆様はご存知でしょうか?

リハビリテーションといえば、病気やけがの後、社会復帰や家庭復帰に向けて運動を頑張ることという印象が強く、栄養とどんな関係があるのかと思わる方がほとんどではないでしょうか。

栄養状態の異常は、大きくは「過栄養」と「低栄養」の二つに分かれます。「過栄養」状態とは、文字通り栄養が過剰な状態で、肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病に直結し、食事や栄養管理はそれぞれ疾患の根本的な治療法とされ、さらに運動も有効な治療法の一つとして認識されております。

糖尿病を中心とする生活習慣病はリハビリテーションの対象疾患として我々もかかわる機会が多いのですが、一般的には散歩やウォーキング、スイミングなどの有酸素運動が有効であり、代謝機能向上のために筋力訓練が有効であること、運動をしっかり行うことが可能となるよう体の柔軟性を保つためのストレッチが重要であることが広く知られています。一度にたくさん行うのではなく、毎日継続できることが重要であり、休みの日だけ運動して平日には運動しないというのでは、運動効果は乏しいと言わざるを得ません。毎日1時間程度運動を行える環境を維持できることが重要です。

では、他方「低栄養」状態にはどんな問題があるのでしょうか。「低栄養」とはエネルギーやたんぱく質が不足して、健康な体を維持するために必要な栄養素が足りない状態を指します。高齢になると、ものをうまく食べられなくなったり、消化機能が落ちたりすることで、栄養や水分を十分にとることができなくなるため、低栄養に注意が必要となります。患者様のリハビリテーションを実施する際に低栄養状態で運動を行うことで全身状態を悪化させる場合もあるため、我々も常に細心の注意を払う必要があります。

ここ何年かで「サルコペニア」という言葉を耳にする機会がずいぶん増えました。「サルコペニア」とは、筋肉量の低下と筋力低下による身体機能低下のことであり、その主原因として加齢があげられますが、加齢以外に活動性低下や疾患、さらには栄養状態の低下に伴うものがあげられます。進行すると寝たきりになってしまう場合もあります。

リハビリテーションを行う上では、「過栄養」よりもむしろ「低栄養」の状態のほうが厄介な場合が多く、栄養状態を上げる方策を取りながら、身体機能改善を目指して筋力訓練などを実施します。多職種での栄養サポートチーム(医師、看護師、薬剤師、栄養士、臨床検査技士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等)を組織して対応している病院も多いと思います。

「過栄養」、「低栄養」になってから状態を改善するのは非常に難しいため、予防が非常に大切になります。普段から、ご自分の栄養状態に関心を持つこと(食事に気を配ること、定期的に健康診断や人間ドックを受けること等)、継続的な運動を実施することで、適切な栄養状態を維持することを心掛けましょう。

 

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