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うみねこ通信 No.264 令和3年6月号

やけどに注意しましょう

形成外科部長 荒 道人

「熱い! あ~あ、やけどしちゃった。」誰でもこんな経験があると思います。やけどはよく見かけるケガの一つですが、その原因にもたくさんあります。お湯や麺類の汁、味噌汁、天ぷら油などの熱い液体。フライパンやストーブ、アイロンなどの熱い固体。炊飯ジャーなどの蒸気などありふれたものも多いですが、「こんなもので?」というものも時にはやけどをおこします。低温やけどといって温度の低いものでも長時間あたっているとやけどをおこします。例えば、湯たんぽによるやけどや、泥酔してホットカーペットの上で眠ってしまってやけどしたとか、ファンヒーターの噴き出し口に赤ちゃんが寝返りをうって、温風でやけどしたとかなどです。低温やけどでは深いやけどが多いのが特徴です。その他にも電気によるやけどもあります。また酸やアルカリによる損傷(化学損傷)や日焼けも広い意味ではやけどの一種です。
○やけどの深さ
皮膚は表皮、真皮、皮下組織(脂肪など)からなりますが、そのどの深さまで達しているかでやけどの深さが決まりそれによって治り方が違ってきます。
Ⅰ度:
表皮までのやけどで、発赤がありヒリヒリと痛みます。
1から3日程度で治ります。
瘢痕(きずあと)は残りません。
Ⅱ度:
真皮までのやけどです。これはさらにふたつに分けられます。
浅達性Ⅱ度:真皮の浅いところまでのやけどです。水疱(水ぶくれ)ができ、その下の皮膚は赤く見えます。
1から2週間程度で治ります。
普通、肥厚性瘢痕(ケロイド状に盛り上がったきずあと)は残しません。
深達性Ⅱ度:
真皮の深いところまでのやけどです。
水疱ができ、その下の皮膚は白く見えます。治るのに数週間かかります。
肥厚性瘢痕を残すことが多いです。
Ⅲ度:
皮下組織に達するやけどです。白色レザー様や褐色レザー様となったり、完全に炭化しているものも含みます。
そのままでは治るのに1から3ヶ月以上かかり、多くの場合手術が必要になります。
深さの判断は、非常に難しい場合もあり素人判断は危険です。特にⅢ度のやけどは初めは痛みがないため、浅いと思ってしまうようです。
○やけどしたら?
「やけどしたら、すぐに冷やす。」これは間違ってはいませんが、正解でもありません。水で冷やすというのは、冷やすのが目的ではなく、できるだけ早く原因となる熱源(熱いもの)を取り除くためです。よく氷で冷やしている方を見かけますが、水道の水程度の温度で充分です。氷で冷やすのはかえって良くありません。また比較的範囲が広い場合は、特に小さいお子さんでは冷やしすぎると体温の低下を招いてしまいます。
水疱ができた場合は、破らないように気をつけて下さい。水疱の水疱膜は大切です。衣服の上にお湯がかかった場合は、どうしてもあわてて脱がせてしまうことが多いようですが、そうすると水疱が破れて、水疱膜が取れてしまいます。水疱膜を残すことが重要ですから、水をかけて温度を下げてから、水疱を破らないようにそっと脱がせるか、もったいないですがハサミで切って脱がせます。そのまま病院に連れていくのも良いと思います。
民間療法でいろいろなものを塗ってくる方がいますが、これはやめてください。きれいなタオル(濡らしたタオルでも良いです)でくるむ程度にして診てもらいましょう。くれぐれも氷を使わないようにしてください。
○予防が大切!!
やけどは不注意によるものが大半です。予防することが一番大切です。小さい時の深いやけどは、成長期が過ぎるまで治療が続きます。特に小さいお子さんがいる場合、手の届く範囲に絶対に熱いものを置かないようにしましょう。
 

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