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うみねこ通信 No.274 令和4年4月号

勤労者看護の取り組みについて

看護師長補佐 田中 優子

当院の病院理念に「勤労者医療・地域医療等における役割を推進します」と明記されているのをご存じでしょうか?今回は、勤労者医療と勤労者医療を推進するために看護部で取り組んでいる勤労者看護について紹介したいと思います。
勤労者医療は、勤労者の健康と職業生活を守ることを目的として行う医療及びそれに関連する行為の総称です。働く人の健康を取り巻く環境は大きく変化しています。約60年前はじん肺や重金属中毒などが多く見られました。その後は作業の機械化による振動障害や腰痛などが発生しました。これらは、いわゆる職業病と呼ばれるもので、作業過程での要因が原因となって発症した疾患です。近年は、定期健康診断で異常所見のある人や職場生活で悩みやストレスを感じる人が増加しています。そして、高血圧症や慢性気管支炎、腰痛症、感染症、悪性腫瘍、胃・十二指腸潰瘍など、様々な疾患を抱えながら働く人が多くなりました。これらは、作業関連疾患と呼ばれ、「疾病の発症、増悪に関係する要因の一つとして、作業(作業環境、作業条件など)も考えられる疾患」と世界保健機構(WHO)で定義されています。また、化学療法等の新たな治療法の進歩によって、これまでは治療のために仕事を辞めていたがんについても、治療を受けながら働く人が増えています。このような働く人の健康問題を解決するため、労災病院では勤労者医療を推進しています。
勤労者医療における私たち看護師の役割は、働く人自身が健康と労働生活のバランスをとり、それぞれの健康の状態に応じて健康的に働くことができるよう支援することです。勤労者看護の主な範囲は、疾病予防・早期発見・治療・リハビリテーション・職場復帰と広範囲にわたります。
働く人の多くは、健康診断での異常の発見や何か症状が現れてからの受診、事故での受傷などのきっかけにより病院との関わりが始まります。働く人は、労働生活を優先した日常を送っていることが多く、看護師は、患者さんとして入院した働く人の職業がどのように健康問題に影響を及ぼしているかを考えることが重要になります。そのために、入院患者さんへは勤労者看護問診票やインタビューを通して、職場環境や作業の種類、内容、仕事がある日の生活時間、仕事上の悩みやストレス、職場での健康管理サービス等についての情報提供をお願いしています。職場環境や作業形態が健康障害の原因やきっかけになったり、睡眠時間の確保ができない、食事のとり方や栄養に偏りがある、過度のストレスを抱えているなどの日常生活への影響が生活習慣病の発症やメンタルヘルスの不調につながることもあります。看護師は、入院の原因となった疾病の看護だけではなく、患者さんの労働や日常生活スタイルも考慮し、健康上のリスクを診断して、改善のための具体的な方法を患者さんと考え、疾病予防をしています。そして、最終的に患者さんが職場復帰や社会復帰できることを目標に看護しています。働くことは生活の保障だけでなく、その人にとっての生きがいや人生の目標である場合もあります。日ごろの看護に労働生活の視点を加えて、働く人の健康と労働のバランスのとり方を考えた看護を実践しています。
職場復帰に対する不安や治療と仕事の両立の相談など、お気軽に看護師にご相談ください。
 

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