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がん診療センター

「 がん診療センター 」の開設について

院長 玉澤 直樹

平素から当院の運営並びに医療連携につきまして、格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

当院は、診療の4つの柱として、がん診療・生活習慣病対策・整形外科診療・泌尿器科診療を掲げております。がん診療については、当院は平成26年に青森県より「青森県がん診療連携推進病院」の指定を受けており、八戸医療圏及び近隣地域におけるがん診療に携わっております。

今後のがん診療のため、病院全体でがん診療に取り組める診療体制の構築が必要不可欠であると痛感し、令和2年11月にがん診療センターを開設することとしました。特に診療面においては、令和2年1月から放射線治療科医師の常勤化に伴い高精度放射線治療(SRT、SBRT、IMRT)を開始、7月からはIMRTの進化形である回転型強度変調放射線治療(VMAT)を導入し、がんの治療機能の強化を図っております。

がん治療のサポートについても、化学療法は薬剤部と栄養管理室、がんリハビリテーションは中央リハビリテーション部が担っており、さらには、緩和ケアチームによるがんサロンや政策医療としての「がん治療と仕事の両立支援」のため相談窓口によるバックアップを行っており、多職種が密接に連携して切れ目のないチーム診療に取り組んでおります。

がん検診については、早期発見の推進のため、平成31年4月から青森県及び岩手県のいくつかの自治体様や健康保険組合様からがんの個別検診の受託を開始しております。さらに、がん診療センター開設後はゲノム医療(precision medicine)やAIによる診断支援といった先進的分野も取り入れつつ、より質の高い医療を地域の皆様に提供できるよう職員一丸となって努力していく所存です。

当院の理念である「やさしく、あたたかい病院」のもと、最善の医療を地域の皆様にご提供できるようスタッフー同、努力を続けてまいります。今後とも、ご支援、ご指導のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

がん診療センター開設

副院長・がん診療センター長 真里谷 靖

既に新聞や当院の広報誌でご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが令和2年11月より当院にがん診療センターが開設されます。

本センターについては、当院における現在の診療の4つの柱とされるがん診療、生活習慣病対策、整形外科診療、泌尿器科診療のうち、少子高齢化の現代において今後さらに大きな課題となるがんの診療および患者・家族支援について、目に見えるような思い切った改革が必要であるという我々の強い想いがその根底にあります。

少子高齢化という最早避けることのできない社会の動きは、がん患者さんの絶対数増加を意味する一方で、これまで家族・親類や居住地周辺の人的な繋がりが基盤にあった強固なサポートが期待しにくくなっていることをも意味します。ところが同時に、国の医療への方向付けとして、がんも含めた患者さんの在宅医療へのシフトという大きな流れが存在し、旧来の人的支援の輪が次第に弱くなっていくなかで、がん患者さん、特に高齢の方々が治療を受け、日常生活に戻っていくことは徐々に容易ではなくなっているのが現実です。

しかし、がん治療が驚くべき速さで進歩していることも事実です。例えば、当院のトピックとして最近紹介された高精度放射線治療(ピンポイント照射と呼ばれる体幹部定位放射線治療や強度変調放射線治療など)は、がん病巣への高い線量集中性と周辺臓器への影響の低減により、低侵襲的に(体に優しく)治療効果を大きく改善することを可能にしました。いわゆるゲノム医療や免疫療法の進歩は、我々が医者になったころには想像もできなかった発想と手法で(まだ一部の患者さんに留まってはいますが)著しい抗がん効果をもたらしてくれるようになりました。また、投薬だけでなく看護、社会福祉など様々な方向からの包括的取組みによる緩和ケアの進歩は、疼痛のみならず精神的、経済的、社会的ストレスなどに苦しめられることが多かったがん患者さんに、これら苦痛の軽減や社会生活への復帰といった大きな福音をもたらしてくれるようになりました。

ただ皆さんの多くは、まだそのような治療やケアがごく身近なものになった実感が乏しいと思います。また、それがどのような内容なのか、どうやってそこに到達出来るのか、等々多くの疑問をお持ちのことと思われます。

そこで我々は、がん患者さんやご家族をはじめ地域の皆さんを対象に、現代のがん診療をよく理解していただき、かつ近づきやすいものにするため、先ずオープンで分かりやすい総合窓口を設置することにしました。この総合窓口の存在によってがん関連の相談受付けは一本化され、がん診療に関する直接のご質問、電話、FAXや電子メールでのお問い合わせ等に広く門戸が開かれます。加えて既存のがん相談支援センターや地域連携室などと一体化して動くことで、現実のがん診断・治療にどう対応したらよいのか、退院後の生活をどう送っていけるのか、といった迷いや不安をお持ちの患者さんやご家族への支援体制の強化、支持がこれまで以上に充実したものになると考えています。

さらに院内では、部局・組織横断的で効率の良いがん診療を行うことを目指していきます。例えば、がん患者さんの診断、治療方針についてひとつの診療科や部門に捉われず関連するスタッフ全員が意見を出し合い最適なものにしていく“キャンサーボード”と呼ばれるミーティングがありますが、このような診療科や部局の垣根を超えた連携をこれまで以上に強化していくことが重要です。また、診療科のみならず、看護部、薬剤部、中央検査部、中央放射線部、中央リハビリテーション部、栄養管理室、院内がん登録室などそれぞれの専門領域を持つ診療支援部門からも、がんというテーマで一貫した協力を得ることにより病院の総力を結集し、がん患者さんの診断、治療からご自宅や社会への復帰という一連の過程が滞りなく流れていくよう努力していきます。

即ち、我々が考える「がん診療センター」とは、当院が有するがんに関連した医療資源や診療体制を再配分、再構築し、地域のがん患者さんやご家族が出来るだけ効率的にこれを活用できるため“目に見える”ようにする場、同時に我々医療者自身が連携を見直し現代のがん診療を最適な形で提供できるようにする場であると言えます。

いよいよセンター開設のときを迎えようとしていますが、スタッフ一同着々と準備をすすめております。当院においても初めてのミッションであり、至らない点も多々あるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。

「がん診療センター」の現在と明日

副院長・がん診療センター長 真里谷 靖

2020年11月から当院に「がん診療センター」が開設されましたが、その活動内容と方向性などについてオープンにお伝えしたいと思います。

当センターは、当院が八戸圏域と近隣地域を主に担当する「青森県がん診療連携推進病院」の指定を受けていることを背景に、地域のがん診療に実践的に貢献するためにはどう在るべきか昨今の情勢を踏まえ熟慮した上で、院内診療体制の見直しや新規部門の導入を図り、日々進歩するがん診療の中で当院が担うべき立場を明確化する意図を持って構築されています。

その意味で当院の正面玄関からホールに入って右側直ぐの場所に新設された「がん診療センター相談受付」は、当センターのシンボルです。この受付は、がん関連のよろず相談所としての役割があり、窓口、電話、FAXや電子メールでのお問い合わせについて、ご返事が可能な質問には相談員が直接対応し、専門医療のレベルになると臨床各科の担当医などに繋げていく、という様に院内のがん診療関連の人材・部署を柔軟に活用できる入口として運用されています。

この相談受付と連携する重要な新設専門外来には、紹介状なしで医師の助言を求めることが出来る「がん相談外来」やゲノム医療や遺伝性腫瘍の問題などを扱う「がん遺伝相談外来/臨床遺伝外来」があり、各々当初の想定数を超える利用者があります。また当院では、日本ではまだ広まっていない公認心理師による「がん相談カウンセリング」が開始されており、これも相談受付が窓口です。つい最近まで対象を入院患者に限っていましたが、体制が整った現在は外来でも利用できるようになりました。今後、臨床心理の専門家によるがんカウンセリングが、抵抗感なく地域に受入れられることを期待しています。

さらに相談受付は、厚労省管轄の「がん相談支援センター」の窓口も兼ねています。がん診療のみならず療養生活や経済面での相談、治療と仕事の両立支援、少子高齢化を考慮した入退院のアシスト、がん治療後に移動を希望する際の施設紹介など社会福祉的な要素も含めて、がん診療に付随する日常的な問題を幅広く担当しており、可能な限り患者さん及び家族のご希望に沿った形での解決を目指しています。

一方、近年飛躍的に進歩しているがん治療に関する当センターの取り組みは徐々に知られるようになり、やっと地域に根付いてきた感覚があります。例えば、2020年にトピックとして地元メディアで紹介された当院の高精度放射線治療は、脳腫瘍などに対する定位放射線治療(SRT)、肺がん、肝がんなどに対する体幹部定位放射線治療(SBRT)、前立腺がん、頭頸部がん、膵がんなどに対する強度変調放射線療法(IMRT、VMAT)などを中心に着実に実績を積み重ねており、技術的にも以前よりさらに洗練されたものとなってきました。2020年の強度変調放射線療法、SRT/SBRTの年間件数は、共に弘前大学医学部附属属病院を若干上回るレベルとなっており、高精度放射線治療に関しては八戸圏域の「ハイボリュームセンター(治療件数が多く質的に充実した施設)」を目指すべく、スタッフ一同さらに意欲的に治療技術向上に取り組んでいます。最近は、敢えて当院の高精度放射線治療を希望し来院いただく患者さんも相当数居られるようになり、我々としては大変有難く感じると同時に、より一層強い責任感を以て業務に励んでおります。

また、がんゲノム医療(precision medicine)への取組みは、ゆっくりではありますが着実に進んでいます。前述した「がん遺伝相談外来/臨床遺伝外来」では、県立中央病院・臨床遺伝科のお力添えもあって、特定のがん治療薬選択に対応するコンパニオン診断や候補薬剤の探索に繋がるがん遺伝子パネル検査などの利用を実際に開始し、その結果に基づき治療が施行されている患者さんも既に居られます。今後、がんゲノム医療は、これらの検査なしには立ち行かなくなることが想定されますが、センター内に強力な足掛かりが出来たことは、地域のがんゲノム医療において当センターが重要な役回りを果たすことを意味しており、院内のみならず、八戸圏域、さらに隣接する地域の施設と広く連携して前進すべきものと考えています。

このほかにも、個々の患者さんに最適ながん診療を部局・組織横断的に考え、実施するための「キャンサーボード」と呼ばれるミーティング、がん診療関連科間でのカンファレンス、看護師、薬剤師、理学療法士・作業療法士、管理栄養士、公認心理士ら多職種のスタッフが主治医と共にがん患者さんの診断、治療方針について意見を述べ合う「病棟カンファレンス」などが継続的に行われ、当院がん診療の質的な充実に貢献しています。

疼痛をはじめとする様々な苦痛への対処が必要な患者さんには、緩和ケアチームが大きな力となります。がん性疼痛やがん治療に随伴する苦痛(有害事象)などに対処するため、担当医師、看護師、薬剤師、公認心理士等がチームを組んで様々な視点からアシストすることで、院内全体に必要な緩和ケアが行き渡るよう努力しています。

理学療法士・作業療法士が活躍する「がんリハビリテーション」も当院のセールスポイントです。がん治療期間が長期に及ぶと、高齢者は「廃用症候群」に陥ってしまう可能性が高くなり、治療を無事終えても帰宅困難になっていたりします。程度の差こそあれ、中年の患者さんでさえ入院治療後の体力低下が目立つケースが少なからずあります。「がんリハビリテーション」を入院直後からがん治療と並行して実施していくことで、体力の維持・改善、心身両面でのリフレッシュが可能であり、入院時よりも元気になって退院される患者さんさえ居られます。長期的にみると、このようなケアの積み重ねが治療成績の向上に繋がっていくことは間違いないものと、自らの担当患者さんの体調を拝見しながら確信しているところです。

以上、開設から一歩一歩前進する当院の「がん診療センター」の現状と方向性について、具体例を示しつつ簡単にご紹介しましたが、少子高齢化に代表される社会構造の変化、がんゲノム医療など先進的医療の発展など、刻々と変化する現代医療とこれを取り巻く環境を意識しながらセンター・スタッフ一同全力を尽くしていく所存であります。

みなさま、今後ともご支援、ご指導のほど宜しくお願い申し上げます。

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