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診療ニュース No.004 平成17年10月号
我々はスポーツ選手の復帰を応援します!
膝前十字靱帯損傷といわれたら…
青森労災病院 整形外科スポーツクリニック
- Q. 他の病院では関節鏡を入れてみないと分からないと言われたのですが、関節鏡検査をしないと前十字靱帯が切れているか分からないものなのでしょうか?
- A. 当院スポーツクリニックでは年間20例以上の膝靱帯損傷の患者さんを専門的に治療し、医師、スタッフともに経験も豊富です。怪我の状況と診察、MRIで90%以上の診断が可能であり、検査のための関節鏡検査は行っていません。一般に膝を捻って怪我し、病院で”血が貯まっている”といって血を抜かれたら約60~70%は前十字靱帯断裂です。
- Q. 前十字靱帯は手術をしなければ治りませんか?
- A. 前十字靱帯が切れたままでもある程度スポーツはできます。しかし、スポーツを続けていくと「膝崩れ」といって膝を捻るような動作で膝が”カクン”と抜けるような、あるいは”ずれる”ような感じを経験します。その際半月板や軟骨損傷を生じるため、手術が必要になります。手術をしないで5年経過すると10~20代の若年者でもレントゲン上の関節症性変化(軟骨がすり減ってくること)がみられてきます。すり減った軟骨は再生しませんし、痛みの原因になります。
- Q. 前十字靱帯の手術はどのようなものですか?
- A. 切れた前十字靱帯は自然に治癒しないため、他の自家組織で新しく靱帯を作る、再建術が一般的です。いくつかの方法がありますが、我々は大腿後面の屈筋腱を使用して本来の2重になっている靱帯を再建する”解剖学的2重束再建術”をいち早く取り入れ(2002年12月より)、怪我してない膝との比較で前方動揺性が2mm以内の例が92%と従来の方法より、優れた成績を得ています。手術の傷は4~5cmの傷と1cmの傷が2箇所と小さい傷ですみます。また若年女子の患者さんが多いため美容の面からも手術創が目立たないように皮下の中縫いを密に行い、皮膚表面は縫わずに保護テープを貼付するだけですので抜糸の必要もありません。術後3日前後でシャワー可能です。多くの場合入院は2~3 週間が必要ですが、手術後1週間以内に歩けますので入院期間に関してはご相談ください。