HOME ≫ 各部門のご紹介 ≫ 診療科のご案内 ≫ 心臓血管外科
年間約20 例の腹部大動脈瘤手術と、70 ~ 80 例の末梢動脈閉塞症に対する血行再建術を行っています。腹部大動脈瘤に対しては、平成24 年よりステントグラフト内挿術を開始しております。低侵襲で治療を完結できるようになり、腹部大動脈瘤治療の選択肢が広がりました。末梢動脈閉塞症に対しても、外科手術のみならず低侵襲であるカテーテル治療との組み合わせ(ハイブリッド治療)を導入しております。重症虚血肢と言われる状態に対しては、診断から、カテーテル治療・外科手術、下肢潰瘍の処置までと他科との連携含め当院で一貫して治療を継続できることのメリットは大きいと確信しております。
下肢静脈瘤に対する治療として、平成27 年7月より、レーザー治療(血管内レーザー焼灼術)を導入致しました。有病率の多い疾患のひとつであり、地域の要望に今後も対応させていただきます。
また、地震を契機に注目されたエコノミークラス症候群も当科の領域となります。深部静脈血栓症は、検査の発達により診断が容易となってきております。初期の段階で診断を確定し、抗血栓治療等の加療を開始することが致死的な肺塞栓発症を予防する手立てとなります。
◇下肢静脈瘤外来(毎週木曜日 14時~16時 ※受付時間は13時30分~15時)
・心臓血管外科にて下肢静脈瘤の専門外来を開設しております。
・下肢の痛みや腫れの症状でお困りの方の専門外来です。
・下肢静脈瘤外来は、紹介状も不要で、当院に通院したことがなくても受診でき、専門外来のため紹介状がない場合でも初診時の保険外併用療養費(7,700円税込)はかかりません。
お気軽に受診して下さい。
閉塞性動脈硬化症の中で潰瘍・壊死を伴う包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)は治療に難渋することがあります。腸骨動脈や大腿動脈領域に関してはステント、ステントグラフト、薬剤溶出性バルーン、バイパス等治療の選択肢が幾つかあります。しかし、現在膝下の病変に対して使用できるステントは存在しないため、膝下病変に対してはバルーンで拡張させるPOBA)かバイパス手術を行うことになります。POBAのみでは再閉塞率が高く、血管の性状が悪い場合バイパスすら出来ないこともあります。そのような場合、最終的に部分的に切断をしなければならなくなります。
令和3年から保険適応が始まった「レオカーナ」という新しい治療法があります。レオカーナは血液中のLDLコレステロールとフィブリノーゲンを選択的に吸着除去することで血液の粘性を低下させ、末梢の微小循環を改善させるというものです。レオカーナの保険適応は血行再建不適応な潰瘍を有するASO患者さんとなっており、具体的には①解剖学的困難、②血行再建術が手技的に不成功、③血行再建術が臨床的に不成功(手術は成功しても潰瘍が治らない場合)、④その他の理由となっております。全ての患者さんに対して使用できるわけではありません。レオカーナの治療法は週に2回、1回2時間程度かかり、最大で3か月まで保険適応となります。一度で終わる治療法ではなく、時間もかかるためこの治療を行うためには患者さんの協力が得られるかどうかというところが問題となります。
当院ではまだほとんど使用した経験がありませんが、昨年レオカーナを行った患者さんは潰瘍が良くなり、現在も元気に外来に通院しております。透析患者さんは全体的に高度の石灰化を認め、バイパスが困難な症例が多くみられるため、少しでも切断の回避につながるのであれば有用な治療のオプションではないかと思われます。難治性の潰瘍を有する患者さんがいれば一度当科に御相談頂ければ幸いです。
心臓血管外科部長 野村 亜南 / Anan Nomura | |||
---|---|---|---|
専門分野 | 循環器外科 | 出身大学 | 弘前大学(平成18年3月卒) |
専門医・認定医等 |
・日本外科学会専門医 ・3学会構成心臓血管外科専門医 ・10学会構成胸部ステントグラフト実施医 ・10学会構成腹部ステントグラフト指導医 ・4学会構成浅大腿動脈ステントグラフト実施医 ・身体障害者指定医 |