このたび須田前院長の後任としてこの4月1日より院長に就任いたしました玉澤直樹と申します。父親が外科の医者として新郷村の病院に勤めた関係で、小学生まではそこで過ごしました。小学校の途中から八戸に移り、函館ラサール高校から、弘前大学の医学部に入学しました。昭和57年に弘前大学医学部を卒業後、同大学の内分泌代謝内科(当時の第3内科)に入局し、平成25年まで弘前大学で診療・研究・教育に従事しました。専門は糖尿病と脂質代謝異常症で、ヒトの体内で糖と脂質の代謝障害がどうして起こるのか、その結果どのような病気になるのか、それをどのように治療するのかということです。平成25年から2年間は青森市民病院副院長として糖尿病内分泌内科で診療に当りました。
青森労災病院では前須田院長の方針で、院内の各診療科・部門が連携をして“生活習慣病に積極的に取り組む”こととなりました。私は、平成27年4月から青森労災病院副院長に着任し、10月から開設された生活習慣病センターのセンター長に就任しました。また、弘前大学時代から、院内感染対策の仕事にも携わり、その仕事もさせていただいています。
生活習慣病は、その患者さんが生まれながらにして持つ“病気になりやすい体質(感受性遺伝子)”が複数重なり、それに生まれてからの環境因子が加わってもたらされると考えられています。例えば、糖尿病は代表的な生活習慣病で、現在まで30数個の感受性遺伝子が報告されていますが、各々の遺伝子の糖尿病を引き起こす力(発症寄与率)は決して高くなく、複数の感受性遺伝子の組み合わせと過食・運動不足などの環境因子によって発症すると考えられています。このことは、全く同一の遺伝子を持つ一卵性双生児が同時に糖尿病を発症する確立は100%ではなく70%程度にとどまることからも分かります。
生活習慣病に関する研究が進んで、日本でも生活習慣病にかかるとどれ位身体に悪いのかが分かるようになってきました。例えば、60代の糖尿病を有する男性の場合、喫煙あり、収縮期血圧160、総コレステロール240の場合、10年後に冠動脈疾患で亡くなられる確率は10%以上と評価されます。喫煙を止め、血圧とコレステロールを正常化すると、死亡率は2から5%に減少します。糖尿病のコントロールが良くなればさらに改善が期待されます。
当院では、患者さんの生活習慣病について見落としなく総合的に「診断・治療」をすることに加えて、「予防」・「社会復帰」・「地域連携」の立場からも積極的に対応して参ります。そして、その結果を広く社会に情報提供することでも役割を果たして参ります。
歴代院長が提唱してまいりました「患者さんに優しく、来てよかったと思える病院」を目指して職員一丸となって専門的で質の高い医療を提供できますよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。