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診療ニュース No.006 平成18年4月号
足関節捻挫(外側靭帯損傷)といわれたら…
- 足関節捻挫とは?
- 足関節捻挫はスポーツ選手だけでなく、一般の人々にもみられる怪我のひとつです。多くはランニングやジャンプの際の着地で足関節を内側に捻ることにより、外側の靭帯が伸ばされたり、切れたりして生じます。怪我の直後から外くるぶし周辺の腫れと痛み、さらに時間がたつと皮下出血が認められます。
- 捻挫の重症度は?
- 程度の軽いものから1~3に分かれます。
- 1度-靭帯が伸ばされただけで痛みも少なく、通常は歩行可能
- 2度-靭帯の部分断裂であり、完全には損傷されていない
- 3度-靭帯は完全に断裂し、2本以上の断裂がみられることもある
- 捻挫をしてしまったら?RICEとは?
- スポーツの現場では痛みと腫れの軽減のため、また治癒機転を促進するため、迅速な処置が必要です。我々はその救急処置をRICEと呼んでいます。(Rest:安静)(Icing:冷却)(Compression:圧迫)(Elevation:挙上)の頭文字をとってRICEです。
- 怪我をしたらすぐに競技を中断すること(安静)、そして氷やアイスノンを利用して患部を冷やすこと(冷却)、次いで弾性のある包帯などを用いて腫れの予防のため圧迫すること(圧迫)、足を下げるとうっ血して腫れがひどくなるため心臓より高く挙げること(挙上)です。
- 捻挫の治療は?
- 靭帯損傷の治療は基本的に手術ではなく、保存治療です。現在ではたとえ重症度が3度であっても装具を用いた早期運動療法が勧められます。手術治療が選択されることは少ないですが、靭帯が付着する骨ごと剥れてる場合は手術を選択します。
- 陳旧性捻挫の治療は?
- 古い靭帯損傷では靭帯機能が失われているため、新たに靭帯を形成する必要があります。我々は膝裏の腱を用いた靭帯再建術を行い、スポーツ復帰を目指しています。術後はギプスによる固定を3週行い、ジョギングは2ヶ月、ランニングは3ヶ月から開始し、スポーツ復帰は4ヶ月を目標にしています。
肘が痛くなったら…
- ■ 野球肘
- スポーツ、特に少年野球では肘に障害をきたす選手が多いとされています。野球による肘障害は一般に野球肘と呼ばれていますが、その病態は内側型、外側型、後方型と部位により異なり、治療法方も異なります。また、野球以外のスポーツでも同様の病態がみられる場合があります。
- 内側型野球肘
最も頻繁にみられます。肘内側(小指側)にある成長軟骨の障害や靭帯損傷により生じます。
- 外側型野球肘
離断性骨軟骨炎ともいわれ、肘外側(親指側)の軟骨障害により生じます。進行した場合は肘が伸びない、曲がらないといった運動制限をきたし、関節鼠、変形性関節症を発症する場合もあります。
- 後方型野球肘
肘後方の疲労骨折や関節の骨棘形成により生じます。
- ■ 診断
- レントゲンに加え、現在では軟骨や靭帯の評価のためにMRI撮影を行います。
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- ■ 治療方法
- 原因に対する治療が必要かつ重要です。投球過多では投球制限、不良なフォームではフォーム修正を行います。離断性骨軟骨炎や疲労骨折では、病状が進行している場合は手術治療が必要となる場合もあります。
- 当科では、病状に応じてフォーム指導を含めた保存治療、手術治療を選択しています。
- ■ 野球への復帰
- 投球過多が原因の場合は、病状により一定期間の投球禁止が必要です。不良なフォームが原因の場合には投球禁止は必要ありませんが、フォーム修正での症状軽減までには数ヶ月を要する場合があります。手術では、復帰までには病状により6~12ヶ月を要します。