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うみねこ通信 No.236 平成31年2月号

大腸CT検査と内臓脂肪測定検査

主任放射線技師 木浪 晃

〇 大腸CT検査

当院では、2017年12月に64列128スライスCT装置を更新しました。その際大腸CT検査に必要な炭酸ガス自動注入器や専用解析ソフトなどを導入し、 2018年1月より検査を開始しています。

大腸CT検査とは、炭酸ガスで膨らませた大腸をCT装置で撮影し、コンピュータ処理によって作成された3次元画像を使って大腸疾患を調べる検査です。内視鏡を挿入する検査と比較して苦痛の少ない検査といわれています。

検査方法は、大腸の中をきれいにするために検査の前々日から下剤を服用し、前日は食べ物の残渣の残りにくい検査食を食べて、食後に少量の造影剤(バリウム)を飲みます。検査は肛門から大腸内に炭酸ガスを注入するためのチューブを挿入し、大腸内をよく観察するために十分に膨らませた状態でCT撮影をします。CT撮影は仰向けとうつ伏せで撮影し、大腸の拡張が悪い時には3体位目を追加撮影することもあります。検査に要する時間は30分程度ですが、炭酸ガス注入から撮影終了まで約10分程度です。検査中はおなかの膨満感はありますが、検査後大腸内の炭酸ガスは速やかに吸収されていきます。

大腸CT検査のメリットは、大腸内視鏡検査より少ない下剤の量で前処置の負担を軽減でき、検査自体の時間も短くできることです。また、内視鏡検査で見逃しやすいひだ裏の病変もCT検査では任意の方向から観察できるため見つけやすくなります。内視鏡の挿入が難しい症例でも大腸全体の評価ができます。

大腸CT検査のデメリットは、大きさが6㎜以上の隆起型腫瘤はほぼ検出可能ですが、5㎜以下の小さいポリープや平坦型の病変の検出は大腸内視鏡検査に劣ります。大腸粘膜の色調観察ができません。組織生検やポリープ切除ができないので、このようなときは改めて大腸内視鏡検査を受けることが必要となります。また、最低限の医療被ばくがあります。検査の精度は前処置により変わってきますが、残渣が多く残っている場合や大腸がうまく膨らまない場合は、正確な診断ができないこともあります。

日本での大腸がんは、女性の部位別がん死亡率第1位、男性では第3位となっています。2018年のがん統計予測では、15万人ほどの人が罹患し、その中のおよそ5万人が死亡するとされています。しかし、大腸がんは早期発見・早期治療により完治しやすいがんです。大腸がんは早期の段階では症状を自覚することがありません。早期に発見するために40歳以上の方には検査を受けることをお勧めします。

〇 内臓脂肪測定検査

当院では、低線量腹部CT撮影でわかる内臓脂肪測定検査を始めました。検査方法は、おへそ付近のCTを撮影するだけです。検査時間は5分程度です。コンピュータで解析をして内臓脂肪の面積を測定します。検査結果は15分程でお渡しできます。内臓脂肪の面積が100㎠を超えると内臓脂肪型肥満と診断されます。これに加え、高血糖・脂質異常・高血圧のうち2つ以上併せ持った状態をメタボリックシンドロームといいます。メタボリックシンドロームの人は、糖尿病を発症するリスクは通常の7~9倍、虚血性心疾患や脳血管障害を発症するリスクは通常の約3倍ともいわれています。つまり、内臓脂肪型肥満はさまざまな生活習慣病の元凶となる可能性がありますので、検査を受けることをお勧めします。

 

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